第1445話 いま思えば

 先日、使用期限の話をしたじゃないですか。そういや似たような話がもう一つあって。いや、期限が切れた商品がそのまま放置されてたとかそんな話じゃなくて。


 今日はネジの話。


 皆さん、ネジは好きですか? 私はね、大好き。可愛いですよね、ネジ。

 職場で金物・工具・補修担当だから好きになったのではなく、元々好きなんですね、こういうのが。なので、手が空くとネジ売り場でネジを見てます。お客さんもね、適当なところに返したりするので、そういうのもちゃんと直さないと在庫も狂っちゃいますから。遊んでるわけではありませんから。ええ。


 さて、ネジ売り場をうろうろしておりますと、探しているネジが見つからない、というかどれがどれだかわからない、というお客様に声をかけられます。たまに「これっぽいな」くらいの判断で買っていかれるお客様もいますが、太さだけを見て買うのは大変危険です。ネジにはネジ山というのがありますので、それが合わなければ、ネジは最後まで回りません。


 そこで活躍するのがネジゲージです。


 鉄の板にM2から20までのネジがにょっと出てるやつ(ナットを探す用)と、逆にそのサイズの穴(ネジを探す用)があいてるやつです。メートルネジと、インチネジ(ウィットとかユニファイとかいうやつ)の2種類あってですね、とにかくネジを探すなら、穴の方に持参したネジを入れてある程度回すのです。ちょこっとだけ回してイケるかな? と思っても、合わないネジは途中で絶対に止まります。


 まぁこの辺りのお話はまるっと読み飛ばしていただいて良いんですけど。じゃあなんで書いた? って思った方は宇部ッセイ初心者です。玄人はもうおわかりですね? 


 字数稼ぎです!(もう隠しもしねぇ)


 とまぁそんなこんなのネジゲージさんなんですが、去年の7月、本部からこんなお達しが来ました。


『次の入れ替え作業時、もしまだ旧ネジゲージを使用している店舗があったら、○○(メーカー)から取り寄せてください』


 添付画像を見ますと、どうやらウチの店は旧ゲージを使用していた模様。これは急いで取り寄せねば、と、早速メーカーさんに依頼しました。それが7月の半ばのことです。その本部からのお達しにも『通常4週間程度かかる』とありましたので、まぁ気長に待ちます。

 4週間後と言えば、がっつりお盆にもぶつかっておりましたので、じゃあ、遅くとも8月末には届くな。そんなどんぶり勘定でゆったり構えておりましたところ。


 9月に入っても来ないのです。

 さすがに「あれれ?」と思いました。

 私のことですから、何かミスってた可能性もあります。そうだ、メーカーさんは、電話で依頼した際に、書式は何でも良いから、欲しいゲージを書いてFAXで送ってくれと言っていたはずだ。もしかしたら、送り先を間違えてたのかも!


 もしもしテレホンです。


メーカーさん「大丈夫です。承ってますよ。ただちょっとお時間かかってまして、申し訳ないです」

宇部「いえ、全然大丈夫です。特別急いでるわけでもないですから。ではよろしくお願いします」


 とにかく依頼は出来ているようです。もう何も恐れることはありません。数ヶ月前までそのゲージで接客していたわけですし、ゲージ自体には問題はないのです。ただ、そこにある特殊ネジの取り扱いがもう終了しているらしく、その問い合わせが来た時に注意すれば良いのです。


 で。


 10月です。

 いやいやいやいや。

 さすがに10月?!


 これ、忘れられてるのでは?

 

 そう思い、びくびくしながら、再度テレホンです。すると――、


メーカーさん「大変お待たせして申し訳ないです。何だか一気に注文が入りまして、やっと今週から発送に入りました! もうしばらくお待ちください!」


 もうね、ピンと来ましたよね。

 皆さんも気付いたでしょ?


 たぶんね、ほとんどの店舗が旧ゲージだったんですよ。それで、本部からの通達を見て、一気に問い合わせたんですよ。本来はあらかじめ本部がメーカーに発注し、そういう販促物が揃ってから入れ替えの指示と共にそれを送り付けてくるんですけど、恐らく、数ヶ月、下手したら数年前の入れ替え時にそれをしていなかったんですよ。なのにやったつもりだったんでしょう。もしかしたら、本社に近い店舗とかそういうところにだけ先行で送って、それ以外の店のことは忘れていたのかもしれません。これはあくまでも私の予想ですけど。


 ですけど、だって、こんなにネジゲージが一気に注文されることなんてあります?!


 それで、その使用期限の一件でね、「あっ、この本部、これからもちょいちょいこの手のやつやらかすな」と、そう思った次第でございます。

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