第1437話 まだわかりません!
春ですね。
すみません、いきなり嘘をつきました。まだバリバリ冬です。めっちゃ寒波ですわ。
いきなりどうした宇部さん。早くも頭に桜が咲いたのか? そう思われたかもしれません。ですが、私の中で桜が咲くのはGW明け。GWはまだ全然桜の『さ』の字もないけれど、とりあえず外でジンギスカン食べたいから、花見の体で集まるのです。内地の人間が桜でお花見をしている時、道民も桜を見ていると思うな。我々はジンギスカンが食べたいだけなのだ。
そうじゃなくて。
違います、そういうことでもありません。
職場でね、もう新春〇〇セールみたいなのが終わりましたので、そろそろ新生活フェアの準備なんですよ。こういうのって先取り先取りじゃないですか。そんで、さらに人事まで出たものですから、なんかもう気持ちだけは春なんですよ。ほら、服もね? そろそろ春物が出ますし。
人事はもちろん我々パートには無関係ではありますが、共に働く社員さんが出入りするわけですので、気にはなります。さて、ウチの店はどうなるものか。
すると、男性社員が1名、他店へ異動することになりました。覚えておりますでしょうか、特徴(長身、細身、眼鏡)がすべて店長と丸かぶりだったために、ヘルメットでも被られた日にゃあまるで判別がつかなかったという彼です。さすがにもう大丈夫ですけど。
それでですね、その代わりに他店から1名やって来ることになったのですが、名前の漢字からして、女性なのです。一応、仮名ということで、『
私はまだここの職場で7年とかそれくらいで、女性社員と働いたことがありません。学生時代のアルバイトでならあるんですけど、この店ではありません。けれど、10年20年と働いている先輩方は何名か女性社員と働いたことがあるらしく、まぁとにかく大変だったと。もちろん人にもよるんでしょうけど。
我々パートが社員に求めることといえば、我々には出来ない工事の見積もりや、専門知識を駆使した接客、それから、高所作業に力仕事です。何せこれまで男性しかいなかったものですから、高所作業や、ブロックや木材の運搬などなどは社員の力を借りれば良い、という認識でした。パートの中に男性がいないわけではないのですが、女性が20人くらいいるのに対し、男性パートは3人。うち1名は大学生(出勤日数が少なく、勤務時間も短い)です。
女性……果たして戦力になるのか。そして、ただでさえ女が多い職場です。パワーバランス的なものもあります。店長や副店長ではないものの、全くの平社員でもないようです。
過去には「力仕事なんてパートがやれば良いでしょ」みたいな人もいたらしいです。そりゃやりますけども。
それでまぁ、女性社員にあまりいいイメージのない先輩達は、「女性かぁ……」「女かよ……」と肩を落としています。何とか空気を変えねば、と私は思いました。
「待ってください! まだわかりません! 『
「!!?」
そう、そのお名前、『○子』さんとかではなかったのです。読み方によってはまだ男性の可能性があるのです。ほら、女の子の名前でも例えば『里奈』とかならちょっと厳しいですけど、『由美』なら『よしかず』君とも読めますから!
ていうか何なら、『
危うくそこまで口を滑らせるところでした。ぐっとこらえて『
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