第1431話 ばっさり

 冬場は旦那の仕事がお休みになることが多いものですから、子ども達の学校が始まりますと、私がお休みの日や遅番の日などは日中も旦那と過ごしたりします。


 その日は私の遅番デー。普段ならやれエクササイズだエアロバイクだカクヨムだと色々やり、仕事へGOの流れなのですが、先述の通り、旦那がいるのです。せっかく一緒にいるのですから、ちょっと遠いスーパーへ買い出しに行ったり、何か面白いDVDでも借りに行こう、という話になりました。


 余談ですが、宇部家の新年、割とゴタゴタでした。まず、旦那が新年早々腰を少々やってしまい、回復してきたと思えば、今度は私が謎の体調不良。お姑さんのコ□ナ発症がきっかけで子ども達のお家滞在時間が増えたことを機に導入されたゲームによって、それまでよりも騒がしくなった我が家。これらが重なって、私の精神的疲労がMAX。カクヨムでは愉快なエッセイおばさんですが、ゆっくりPCを開くことも出来ずに常にイライラしておりました。


 そんなこんなでやっと冬休みが終わり、穏やかな日常が戻ってきた。という感じだったものですから、しばらくぶりのゆったりしたお買い物デートです。遅番から帰って来たら、二人で面白いDVDを見ながらホットプレートで餃子を焼いて、火傷したらアイス食べる(絶対火傷するのでアイスは確定)のです。そんな最&高な夜が待ってますので、遅番なんてへっちゃらです。


 それで、諸々用事も終わり、帰りの車内でのことです。たまたま流れていたのは、朝の情報番組。なんか、ドン・キホーテ(だったと思う)で、女性社員が監修した商品があるとか、そういうような特集でした。確か、企画自体は男性社員がして、それで出来上がった試作品を女性社員がチェックして――みたいな流れだったと思います。最初から女性が全部企画するんじゃないんかい、って。そこは良いんですけど。


 それでですね、まず出て来たのは、ふっかふかのタオルでした。バスタオルだったかもしれません。とにかくふわふわで柔らかくてふっかふかなのです。旦那は「おお、こういうの女性が好きそう!」なんて言っていたのですが、私は正直なところ、


「こんなかさばるタオルはちょっと困るな。ウチのタオル置き場なら家族分入らんもんなぁ」


 密かにそう感じておりましたらば、テレビの中の女性社員も全くおんなじこと言ってて。ボリュームがありすぎてしまいづらい、と。


 そんでその場の男性社員もですね、


「女性はこういう柔らかくてふわふわのやつが好きだと思ってた」


 って。やっぱり旦那と同じこと言ってて。

 

 いや、わかりませんよ? 10代20代の女の子ならそうかもしれません。ただ、30過ぎて(過ぎなくても良いけど)自活あるいは家族を持ってですよ、それなりの枚数のタオルを洗うようになったら、そんなふかふかなんかは二の次なのです。そんなことより、速乾! コンパクト! 確かに柔らかくてふわふわしたものは好きですけど、それはどちらかといえば愛でたいというか、実用的なものには求めてないというか。


 電波の関係で一部途切れたりもしましたが、その次は5足組くらいの靴下でした。爽やかな青系のカラーで、濃い色から薄い色までの5色です。


 展示されている分には、「わぁ、きれい」なんでしょうけど、履けるか? と言われたら正直無理です。私のセンスでは無理。なんでそんな青ばっかり集めた? しかも単色なのです。ボーダーでもなく、ドット模様とかでもなく、ひたすら青。色んな青の靴下なのです。


「いーや、青っ!」


 正直な感想としてはこれでした。


 せめて白黒灰色系だったら良かったのに。そう思っていると、女性社員は言いました。


「こんな青ばっかり誰が履くのか」

「作業着みたい」

「せめて白とか黒なら」


 ばっさりで。


 男性陣はしょんぼりです。女性は鮮やかなカラーが好きだと思って、良かれと思って企画したのに。作業着とまで言われてしまう始末。


 けれども販売前ですから。販売に踏み切ってコケるよりはまだマシ。


 やはりね、男女で考え方って違うよなって思いましたし、こうやって持ち寄って話し合うことって大事なんだなって思いましたね。

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