第1378話 怖い食べ物

 考えれば考えるほど怖くなる食べ物があります。

 と言っても、それ自体は割と好きなんですけど、とにかく深く考えてはいけない、ましてやじっくり観察などしてはならない、っていう。


 そんなこと考えてるの、私だけかもしれないんですけどね、実は自分もです! って方がいたらちょっと嬉しいな、って。


 それがね、きのこなんですよ。


 モチーフとしては好きですし、食べるのも好きです。

 好きなんですけど、あれが菌類だって知った途端に怖くなったんですよ。だってただの菌じゃないんですよ。


 肉眼で見える菌なんですよ。

 怖くないですか?

 菌って目に見えないやつって認識だったので、それがガンガン見えてる上に、触れるし、食べられるんですよ。菌を!!


 何かもう怖くて。

 食べられるってわかってるし、身体にもね、良かったりするじゃないですか。低カロリーで美味しいしね。あとヴィジュアルも良いですよね。見た目が一番可愛いのはブナシメジだと思っています。次点でホワイトブナシメジ。あっ、もちろん食べられる、しかもスーパーで庶民が手に取れるレベルのきのこの中でですよ。やめて、松茸様とか持ち出さないで。いや、あれは見た目的にはそんなに可愛いと思えないので、私。


 きのこの怖さはそれだけじゃないんですよ。

 菌類っていうだけじゃないんです。

 胞子で増えるんですよ、あいつら。まぁそれも菌類の特徴じゃねぇかって言われたらそれまでなんですけど。


 いや、怖くないですか。

 胞子で増えるって怖くないですか。

 あの傘の裏からぶわぁって出るんだろうなって考えるだけでもう駄目。


 そういう理由で椎茸はずっと苦手でしたね。もういかにも出そうじゃないですか、あれだけ傘が大きかったら。いまでこそ普通に食べられるようになりましたけど、いまでも裏側は見られません。なるべく細切りにして使いますし、レシピ上どうしても大きく切る(あるいは切らない)場合は、絶対に裏は見ません。怖いからです。


 それと、きのこはですね、なかなかに争いを生む食べ物であると思うのです。


 違います。某有名お菓子のアレではありません。山派か里派かっていう、アレではないです。


 洗うか、洗わないか、っていうやつです。


 なんかね、きのこは洗わなくて良いよ、って話なんですよ。気になるなら濡れた布巾でさっと拭いて――だったかな、そんな感じで聞いたんですよ。


 だけどね、私は洗いたい。

 だって、土とか木に生えてたやつですよ。

 そりゃね、ちゃんとした会社が栽培してあれこれして販売してるわけですから、そういう衛生面についても心配はないんだと思いますよ。でもね、なんていうんでしょう、ほんとマジでイメージだけなんですけど、


 いや、お前、土とか木に生えてたやつじゃん、って。


 それがどうしてもぬぐえないわけです。

 

 そこまで気になるなら好きにしろよって話なんですけどね。そんなじゃぶじゃぶ洗うわけでもなくて、ほんとさらーっと洗うだけなんですけど、なんかすごく悪いことをしてるような気になっちゃうんですよ。


 もしかして何か表面の良い感じの成分とかも洗い流しているのでは、って。

 

 だったら洗わずに使えよって話なんですけど。


 たかだかきのこを調理するだけでこんなことをぐじぐじと考えているんですよ、宇部さん面倒臭いアラフォーは。


 だけど、何が一番怖いって、それでも美味しいから買っちゃう、っていう点なんですよね。私洗脳でもされてるんかな。もちろんいまも冷蔵庫にたくさん入ってます。

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