第1310話 will you marry me?
というわけでですよ。
こないだの旦那との出会い回でですね、まさかのリクエストがあったんですよ。
かわのほとり様(https://kakuyomu.jp/users/numayu)からのコメントで。
『これを読んで、この出会いから数年後の松清さんから仕掛けての結婚の運びのあたりも聞きたい!と思った人はきっと私だけではないはずです。
ぜひもう一話。よろしければおきかせくださいな。』
と!
書くから。
そんなことを言われたら書くから私は。恥を晒すから。
さてお話は、私と旦那がお付き合いを始めて数年後です。当時、借り上げ社宅っていうのかしら、会社経由で借りたアパートに住んでいたんですけども、ほぼほぼ同棲状態でした。単身者用の部屋なので、もちろんワンルームですし、ベッドと家具を置いたらあとはもう折りたたみのテーブルしか置けないような狭いお部屋だったんですけど、それでもフツーにほぼ同棲してました。
職種が違うので勤務時間は微妙に違うんですけど、職場も同じなので、下手したら20時間くらい同じ空間にいる生活でしたね。ソファなんて洒落たものはないので、常にベッドでゴロゴロしている感じです。雰囲気が熟年夫婦。拠点はベッドですが、かといって常にエロいことをしているわけでもないです。そういう生活を続けていたせいか、この数年後広めのアパートに越すんですけど、離れたところに旦那がいることにしばらく慣れませんでした。いまでも常に目の届くところにいてくれないと落ち着きません。
ある日のことです。
旦那は内勤は内勤なんですけど、外回りがメインということもあって、定時に上がれることは稀です。なので余程遅い場合を除いて、途中のコンビニで待ったりして一緒に帰ってました。そんな感じで帰宅したいつもの夜です。
郵便受けに手紙が。
当時もすでに通信手段はメールとかでしたから、手紙なんて珍しい。そう思いながら回収し、荷物を置きつつ開封。旦那はそのままシャワーを浴びるべく、脱ぎ脱ぎ。もう全然恥じらいとかないです。キャッ、良夫さんたらこんなところで! とか言いません。そもそも脱衣所すらねぇんだ。
で、手紙なんですけど、結婚式の招待状でした。
招待状というか、その前の段階というか。結婚することになったから、招待状送っていい? みたいなやつだったと思います。
ショックで。
あのね、大学の友人なんですよ。もう親友くらいのポジションというか。私はいまでも親友と思ってるんですけど、かなり疎遠になっちゃったので親友って思ってていいのかな……?(そういうところがコミュ障)
で、その子はですね、常日頃、私は結婚しない、みたいなことを言ってたんですよ。彼氏はいたんですけど。だからなんとなく、私の方が先に結婚するんだろうなって思ってたんですよ。と思ったら先越された! って。別に競争してたわけじゃないんですけど、なんかもうガツンと来て。
叫びましたよね。いや、叫んではいないか。夜だし。でもね、気持ち強めに呼びつけた記憶があります。
宇部「良夫さん!」
良夫「えっ、何?」
宇部「ちょっとこれ見て! ここ(ベッドの上)来て! 座って!」
良夫「え? あぁ、◯◯ちゃんから?」
宇部「そう! ◯◯、結婚するんだって!」
良夫「そうなんだ、おめでたいね」
宇部「私は!?」
良夫「ううん?」
宇部「私はどうなの!?」
良夫「ど、どう、とは?」
宇部「良夫さんは私と結婚する気あるの!?(ブチ切れ)」
良夫「あ、あります!」
宇部「ほんと!?(ブチ切れ)」
良夫「(座り直す)ほんと! 松清子さん、俺と結婚して
宇部「
っていうね。
その間ずーっと旦那は全裸でしたね。全裸で正座してて。そんで、まぁこうなったらですよ、そのままイチャイチャして何かしらが始まるものなのかもしれないんですけど、そんなことよりもうね、言質取ったり、って感じでね。
良夫「えっと……そろそろシャワー浴びてきて良いかな、俺……」
宇部「ごめん、そうだったね。浴びてきな。ご飯食べよ」
フツーにそこからご飯の流れになりましたからね。むしろこの感じからいやらしいムードに持ち込めないでしょ。持ち込めたら寝技のオリンピック選手よ。
そんなこんなでプロボーズされたというか、させたというか、そんな感じでした。そこからウチの両親にご挨拶して――っていうのが『第222話 猫の話をするしかないのに』です。
私だってほんとはね、跪いて指輪の入った箱をぱっかーんして「僕と結婚してください!」っていうベタなのを夢見てたんですけどね。いやーまさかこんな感じとは思いませんでした。でもそれでいまの宇部夫妻があるわけですから、あの時詰め寄って良かったなって。たぶんあれがベストプロポーズだったんでしょうね。
なのでこれは子ども達には話せませんね。もう少し大きくなってからかな。
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