第1283話 張り切り娘

 さーてさてさて。まだまだ北海道でのお話をお届けだ! なんでかというと、秋田に戻って来たものの、いまのところ『ワー、旦那に会えて嬉しいな』くらいしかイベントが起こっていないから! それはイベントじゃねぇ!


 というわけで、前回は息子の尻のお話でしたので、公平を期すために今回は娘です。ご安心ください、娘の尻の話ではありません。さすがに娘の尻はまずい。


 まぁこのご時世、男だからとか女だから言っちゃうと色々問題あるのはわかりますし、男児の尻でもアウトだろって思われたかもしれませんけど、それでもやはり娘の尻は守っときたいし、そもそも息子ほどアピりたい特上の尻でもない。特上の尻ってなんぞ。


 娘はですね、やはりこのはっちゃけぶりといいますかね、そういうところなんですね。


 松清家はどちらかというと女系でして、私は三人姉弟の次女で、下に弟(滅多に帰ってこないので子ども達もその存在を知らない伝説のポケモン)がいるんですけども、実はその弟が生まれる前に妹が二人いたのです。生まれてすぐに亡くなってしまったんですけれども。なので、ほんと立て続けに女が四人も生まれたこともあり、実母も実父もなんとなく男の子が珍しい様子。いや、実子(弟)がいるじゃんよ。


 そうでなくとも息子は折り紙だのお絵描きだのが突出しているため、派手な褒めポイントがあるわけです。たまに荷物の中に紛れ込ませてやる息子の作品なんかも大事にとってあったりもするものですから、母としては内心ヒヤヒヤです。21時に到着して、予め送っておいた荷物を解き、パジャマだの何だのを取り出している間、息子は何かとちやほやされています。


 娘も!

 娘のこともなんかもっとちやほやして!!


 とはいえ、数年ぶりに会う孫です。ましてや前回会ったのは彼女が二歳の頃。接し方にとまどうのも無理はありません。わかりやすいアピールポイントをこちらが提示しなければ、いくら『THE田舎のおばちゃん』である母でも身構えてしまうというもの。


 万が一、自分の娘(つまり私)のようなスーパー人見知りのコミュ障だったりした場合、初手で失敗すると永遠に心を開かないまま秋田に帰ってしまうかもしれません。野生動物かよ。


 と思っていたのかはわかりませんが、やはり少々及び腰の両親。


 が、残念ながら(?)私の娘は私に似ず高コミュ力のぐいぐい系女子。


娘「こんばんわ! 宇部娘です! あのねあのね、わたしねぇ!」


 出会って数秒でもう普通にしゃべり始めました。あれ、お前ここん家の子だったっけ?


 四年前にたっぷり触れ合っているはずの兄がちょっともじもじしている中、娘は前回の記憶がなんぼのもんじゃいと言わんばかりにぐいぐい行きます。何かもう先週くらいに会ってるような距離感。お前すげぇな。


 そこからは娘の独壇場です。彼女は段ボールの中にちゃんとお絵描き帳やら勉強ノートやらを仕込んでおりまして、それをぐいぐいとアピることで、自ら褒めポイントを提示してきたのです。母が不甲斐ないので、自分でやるしかないと思ったのでしょう。いや、お母さんだって実の両親くらいは強気でイケるよ?


 もうね、全然杞憂でしたね。

 そこからは娘は秋田のおばあちゃんの家でもやっているように、積極的にあれこれとお手伝いをし、「娘ちゃんって本当にお姉さんね。おばあちゃん助かっちゃう」と毎日褒められまくっておりました。兄は折り紙作品で両親+伯母の度肝を抜き(近況ノートに上げたカネゴン)、妹はそのお姉さんぶりで散々褒められまくって来ました。


 ただ、娘が張り切ってお手伝いする度に「アンタの子なのにね(お手伝いは言われてから嫌々やるタイプ)」とちくちく言われるのが痛かったですね。

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