第1246話 相変わらず謎
いまはもう治ってると思うんですけど、息子が風邪を引いたんですよ。学校から熱が出ましたって連絡が来て。
私がちょうどお休みの日ではあったんですけど、宇部家は学校からの緊急連絡先を旦那の電話番号にしている(仕事柄融通がつきやすいし、駄目でもお姑さんへのヘルプがスムーズ)ので、まずは旦那が学校へ彼を迎えに行き、そのまま実家に預け、私が実家に行って、それから病院へ、という流れになったわけです。
で、愛車(自転車)をかっ飛ばして5分くらいのところにある旦那の実家へ行ったわけですけど。
息子がね、もう何でしょうね、可愛くてね。いや、彼は平時でも可愛いんですけど。どうやら早退時は37℃くらいだったらしいんですが、私が到着した頃には38℃くらいまで上がっていたみたいでですね。とはいえ、咳も鼻水もなし、顔色も悪くないし、悪寒や頭痛腹痛もないようで、ただただ熱があるだけだったんですけど、それでも心細かったんでしょうね、私を見るなり、ベッドの上でほろほろと泣いちゃってね。
ちょっともう可愛すぎる。何この子。誰の子? 私の子だよ!
もうね、お姑さんもね、「息子君はそういうところある。可愛い」って。わかります、お義母さん。
息子は元々扁桃腺が大きいために熱を出しやすい(?)らしく、がーっと発熱して、がーっと下がるタイプなんですが、いまその山を迎えている感じのようでした。
枕元に座って手をにぎにぎしていると、ふにゃふにゃ笑いながらほろほろ泣くわけですよ。何この看病イベント。桃缶箱買いしてやろうか。
さて、本当にあっという間に熱は下がって、夜にはもうけろっとしてたんですけど、その翌日から今度は咳が出るようになりまして。熱がないということで登校OKだったものですから、学校に行かせてたんですけど、その翌々日くらいですかね、さすがに咳がすごくて辛そうだから早退した方が良いんじゃないか(当人は元気)、ということで。
それで、また旦那がお迎えに行ったんですね。
そしたら――、
旦那「いやぁ、久々に見たわ」
宇部「何を?」
その日、帰宅した旦那がしみじみと言うわけです。
旦那「あいつの人気者っぷりを」
宇部「嘘でしょ。まだちやほやされてんの? モテ期終わったんじゃないの?」
旦那「女子ではないから。いや、ないわけじゃないけど、だけどほぼ男子だからモテ期ではないと思うんだけど」
宇部「どういうこと?」
旦那がお迎えに行くと、息子は玄関の下駄箱置き場にいたらしいのですが、ちょうど教室を移動する他クラスの男子達が通りがかったようで、
男子A「あれ、息子君帰るの?」
旦那「そうなんだよ、ちょっと風邪気味で咳が出るから帰るんだ」
男子B「そうなんだー。息子君、バイバーイ」
男子C「息子君、バイバーイ」
男子D「おーい、息子くーん、お大事にねー」
とまぁ、ABCD表記にしましたけど、実際のところは何人いたかわからないそうです。とにかく、その場にいた男子達にやたら名前を呼ばれながらお見送りされたと。
それでその『女子ではない。ないわけじゃないけど』の部分なんですけど、去り際、近くに住んでるSちゃんという女の子も寄って来たらしく、彼女は「息子君バイバイ」と言ってハイタッチをしてきた、と。
最後の最後にやはり女子! 結局女子なんじゃねぇか! 旦那の言い分としましては、男子の人数に対して女子は一人だったから、とのこと。いや、一人でも女子は女子だわ!
何でなんだ息子。
何でお前そんなにちやほやされてんだ。しかも他クラスだぞ。お前普段どんな交流してんだよ。お母さんも小学生の頃は結構早退する方だったけど、そんなイベントなかったよ? それはそれはもうひっそり帰ってたよ!? 当時は友達いたはずなのにおかしいな。
息子が可愛がられているのは大変嬉しいんですけど、毎回毎回謎なのよ。
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