第1238話 もう少し砕けてくれても

 息子がですね、まぁ今年小学四年生で9歳なんですけども、とにかく喋るのが苦手なタイプでですね。ステータスをそっちの方に割り振られなかったんでしょうね、本はスラスラ読めるけど、例えばその感想なんかを自分の言葉で伝えるとか、そういうのがものすごく苦手。


 私と同じで文章は書けるんですけど、アドリブで話せない。いやー、こんなところまで似てしまったか、と。


 そもそも彼はですね、話し始めるのもかなり遅くて、なんなら妹の方が早く日本語をマスターしてましたから。いやー女の子は早いですねぇ。


 それで、日常的によく使う言葉はほぼテンプレート化してるんですよ。


①食後のデザートがほしい時

→全部食べました。デザートください。


②歯磨きを終え、仕上げ磨きをお願いしたい時

→磨いた。仕上げはお父さん(あるいはお母さん)お願いします。


 その他にも、何かを取ってもらいたい時は「〇〇ください」。これはお茶だったり、ティッシュだったり様々。


 いやー、宇部さんのお家上品ね、って思われたかも(むしろお上品通り越してロボみがある)しれないんですけど、違うんですよ。

 こっちだってね、そんな教育ママというわけでもないですし、そんな上品な家庭でもないんですから。もうわかるでしょ? パパのパンツでふれあいパークする家庭ですよ。


 違うんですよ。最初に、「息子君、こうやって言えば良いんだよ」って教えたのを変えられないんですよ、彼は。これ以外はまだ普通に色々しゃべられるのに、デザートと仕上げ磨きはどういうわけだか固定なんですよ。


 こっちとしてはですよ。


息子「お母さーん、デザートー」

宇部「お母さんはデザートじゃありませーん」

息子「デザートちょうだーい」

宇部「はいはい、ちょっと待ってね」


 みたいなね? こんなフランクな感じでもそろそろ良いじゃんって思ってるんですよ。なのに、がっちり定着しちゃってなかなか根強い。


 根強いんだけど、頭の回線が正常に繫がってない時(ぼけーっとしてる時)にはバグるんでしょうね、ご飯を食べ終わった後で、


「磨いた。仕上げはお父さんお願いします」


 ってドヤ顔決めてみたり、歯磨きを終えた後で、


「全部食べました。デザートください」


 ってにこにこしてたりします。しっかりしろ! デザートはさっき食べたでしょおじいちゃん! 可愛いけどしっかりして!


 ただたぶん、息子的には楽なんでしょうね、言葉が決まっているというのは。私も仕事の際は定型文がある方が助かりますし。だけれども、そろそろまじでロボみがあるし、このお母さん、子どもに妙な躾してやがるって思われそうだな、って。


 そんで、そんな兄の影響を受けまくっている我儘プリンセス娘ちゃんですけども、彼女も食卓では兄の真似をしているのか同じ感じです。兄妹そろってロボみがすごい。


 ただ、食事以外では、「にいに、ティッシュ(とって)」ですし、「にいに、はい(使用済みティッシュを捨てて)」ですからね。そこで母に怒られるわけですね。人に何かをお願いする時には、もっと優しく丁寧に、と。


 ただまぁ、ほんとにもう少し砕けた感じになってくれと母は願っています。こちらからまた例文を提示しちゃうと、それが新たな定型文になりそうなので、お友達とかから影響を受けてくれ。

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