第1094話 お客様、色々

 ここでも、それから、カクヨムコンの方に出したエッセイでもちょこっと触れましたが、私はまぁ割と何でも売ってる(そして案外何でもは売っていない)小売店のパートでして、レジ担当ではなく、売り場担当なものですから、毎日色んなお客様との出会いがあります。


「〇〇はどこにありますか」


 というライトな接客もあれば、


「これと同じもの、ほしいんだけど」


 というそこそこに難解なものもありまして。


 いや、同じものを探すんだったら簡単なんじゃない? と思われたかもしれませんけど、それはね、パッケージごと持ってきてくれた(しかもバーコードが残ってる)場合です。バーコードさえあれば一発なんですよ。スキャン出来ますから。少なくとも、この店にあるかないか、いまはない(売り切れも含む)けどかつて取り扱いがあったのか(登録がある)等々がわかるわけです。こうなれば、仕入れ先もわかりますし、取り寄せも(廃番でなければ)可能です。


 問題は、剥き出しで持ってこられた場合。しかも、だいたいの場合、年季が入っていてぼろぼろです。金属系のはサビサビです。水回りの部品だったりすると、正直触るのも嫌です。けれどもその辺の部門が担当なもので、避けられないんですよねぇ。


 でもまだ、存在するものなら良いですよ。

 たまにね「わたしのかんがえたさいきょうの〇〇」を探し求めてやってくるお客様もおられまして、


「えーとね、あるかないかわかんないだけどー」


 こんな感じで切り出してこられるともうビクビクですよ。

 この『あるかないかわかんないんだけど』の意味するところが、


 あるかないかわかんないんだけど、なら良いんですけど、

 あるかないかわかんないんだけど、のパターンもありませんから。それはもうどこかの企業にアイディアを送ってください。


 さて、困ったお客様は他にもいます。


 出会い頭に会話の途中みたいなノリで話しかけて来るお客様です。


 通路からいきなり現れて、おっと危ない、申し訳ありませんでした~、と避けようとしたその瞬間――、


「それでね、これなんだけど」


 SO RE DE NE ?


 てっきりお連れ様に話しかけているのかな? と思い、そのまま、ごゆっくり、と 立ち去ろうとしましたが、


「いや、あなたよ、あなた。あなたに言ってるの。これなんだけど――」


 私だったのです。

 いや、私達、いま出会って10秒も経ってませんよね? それでね、って言われましてもね? その前の会話とかね? そういうのありませんよね?!


 私もね? これが旦那相手だったらそれくらいのことは日常茶飯事ですよ? 出会い頭に「それでさー」ってくらいのことは言いますよ? だけどね? 私達、まだそこまでの関係じゃないしね? 


 まぁ、なんてことない接客だったのでなんとかなったんですけど、皆さんも店員さんに何かを尋ねる際にはですね、出来れば欲しい商品の詳細(アレとかコレとかで言われても、夫婦じゃないのでわかりません)、画像でも良いんですけど、型番とかそういうのをメモなり写真を撮るなりしてお持ちいただければな、って。


 一番助かるのは、空パッケージです。

 部品をお持ちになる際は、何の部品なのかも先に教えていただけると助かります。ボルトをお持ちいただいて、同じ太さ、ねじ山のものを探してから、それが除雪機のシャーボルトだったことがわかって焦ったことがあります(普通のねじも入るけど、危ないから駄目)ので。


 そんで、ないとわかったら、出来れば早めに諦めてください。そこを何とかって言われてもどうにもなりません。値下げ交渉じゃないんですから。


 あと、値下げ交渉はパートのおばちゃんにしても無駄です。

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