第960話 やはり眩しい
9月後半は子ども達の行事やらワクチンやらがあり、とにかく忙しかったです。ワクチンの副反応対策としてストックをめちゃくちゃ作ったのが功を奏し、何とか乗り切れました。
ただ10月も娘の就学前診断やら2回目のワクチンやら息子の発表会やらと盛りだくさんのため、その分のネタが大丈夫なのかいまから心配です。
さて、そんな大忙しだった9月後半なんですけども、息子のマラソン大会がありまして。
皆さんご存知、スーパーインドアお絵描き&工作マン、息子君8歳です。運動はママに似てからっきし。もちろん体育系の行事では安定のビリなのですが、本人はまったく気にしておらず、
我々もですね、人間得意不得意はあるんだし、本人も真面目にやってこの結果なんだから、別に良いじゃないの精神ですので、ビリでも何でも良いのです。ただ、苦手だからといって手を抜くな、出来る範囲で全力を出せ、と。
担任のK先生も同じお考えのようですので、目標は『一度も歩かずに走ること』。体力は意外とあるみたいですから、それをテーマに練習を重ねてきたそうです。
で、大会2日前のこと。
息子をお迎えに行って、二人で並んで歩いておりますと、彼がポツリと言うわけです。
「マラソン大会、早く来ないかなぁ」
――!!?
そんな待ちわびることある!?
マラソン大会ぞ!?
あなたそんなに得意じゃないでしょ!?
思わず聞きましたよね。「何で?」って。
いや、もしかしたらね、めちゃくちゃ練習したから、今回は自信があるとかね、順位はさておくとしても、パパとママに頑張りを見せたいとかね、そういうのがあるのかもなって。
そしたら、
「終わったら、ごほうびタイムがあるんだ!」
ごほうびタイムって何!?
すげぇ魅力的な響き!
「先生がね、ペーパークラフトさせてくれるって!」
やっぱり工作――!
先生、釣るのうまいな!
というわけで、やってきましたマラソン大会当日!
割と直前まで天気がどうなるかハラハラでしたが、カラッと晴れてくれました。旦那も午前中のみお休みをとり、グラウンド脇の観覧スペースで下の学年が走っているのを見ながら息子の番を待ちます。
あーそうそう、まずグラウンドをぐるっと走ってね、それからこっちの土手の方(観覧スペース)を走るのよね、って。
昨年の息子の勇姿を思い出しつつ談笑しておりますと、いよいよ3年生の出番です。最初は女子から。位置について、よーい、パァン!
……えっ、グラウンド3周も走るの、3年生? えっ、無理じゃん? 歩かないとか、息子絶対無理じゃん?
ざわつく宇部夫妻。
いや、でも連絡帳には『息子君、練習で一度も歩かずに頑張りましたよ!』って書いてたしなぁ。いや、無理でしょ。私でも無理だし! ほら、2週目で既に歩いてる子いるもん!
もうハラハラしちゃって。
さて、そんなこんなで女子が終わり、いざ男子。この日のために体育着も新調したので、ぶっかぶかです。
女子の時もそうでしたが、やはりまだまだ下級生、よーい、パァン! と共にほぼ全員が徒競走ばりのスタートダッシュ。そんなんで最後までもつのかとこっちが心配になる中、息子君はマイペース。メトロノームかってくらいの正確さで、安定ののろのろペース。いま流行りのスロージョギングです(流行ってんの?)。
ぽってぽって、みたいな効果音がつけられそうな速度でマイペースに走り続け、2周目を走り終える頃には先頭集団に抜かされましたが、それで焦ることもなく。
そしてやっと我々の方に来たのですが――、
今年も全力の笑顔! ありがとうございます、眩しいです! マラソン大会の、しかも走ってる最中(しかも終盤)で普通は笑顔なんか撮れねぇっつーの!
お前のスタミナどうなってんだよ!
さっきの子、ゼェゼェ言いながら半べそかいてたぞ!?
結局彼はゴール直前でもペースを上げることもなく、「息子くーん、頑張れー!」「むーちゃーん(名前の一部+ちゃん付けで呼ばれることも多い)、頑張れー!」という熱い声援を受けながらゴールしました。声援でちょっと急ぐかなとも思いましたが、そんなことはまったくありませんでした。
その後、同学年のパパさんママさんと娘の方の行事で会った(下の子も同級生)んですけど、「いやー、今年もむーちゃん(よその親御さんからもそう呼ばれがち)ニッコニコだったねー。ウチの子なんてもうゼイゼイヒューヒューだったのにー!」って。
いや、〇〇ちゃんはほら、全力で走ってたからね? 普通はそうなるんですよ。ウチの子、スロージョギングだから。
あの余裕の笑顔がもう名物になりつつある。
ていうか、他の子があれだけ頑張ってるのに釣られずに走れるってある意味すげぇわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます