第951話 そんなこと言うなよ
子ども達がですね『クレヨンしんちゃん』を見てまして。私はその時何してたんだっけ。まぁとにかく何かしてたんですよ。で、そのしんちゃんを視界の隅で何となく見てたという感じで。
みさえさん(しんちゃんのママ)がですね、たぶん商店街とかの福引で結構なやつを当てたんですよ。何等かはわかりませんが。
からんからーん、大当たり〜! みたいな感じでね、そんでみさえさんも「えー!? 何かしら〜?」って。
5000円もするジュースでした。ぶどうだったかな。ワインなら5000円だと格付けチェックなんかでは外れ枠ですけど、ジュースで5000円なんてもうとんでもないですよ。そんなの石油王の子どもが飲むやつでしょ。
しんちゃんはウッキウキです。ひろし(しんちゃんのパパ)も、これは相当美味いだろうなぁ、と大盛り上がりです。
が。
みさえさんはね、言うわけです。
「これなら、〇等(ジュースより下のやつ)の商品券(たしかそんな感じだったと思う)が良かったわ」
わかる!
私も昔、商店街の福引で三等とかそれくらいのが当たったんですけど、一升瓶タイプのお醤油で、「こんなの小学生の私に持って帰れってかい!」って思いましたもん。だったら四等の方で良いよ! って(四等が何だったかは覚えてないけど一升瓶よりは軽い)。
そこでひろしは言うわけです。
「そんなこと言うなよ」って。
いや、その通りなんですよ。そんなこと
でもね、みさえさんの気持ち、わかるんですよねぇ。だって流石に福引き会場で言えませんって。こんなのいらないからそっちの商品券寄越せとか。
カランカランって鐘まで鳴らされちゃってね、えー、何だろ何だろって期待してね、そんで5000円のジュースったらね、よっぽどのジュース好きでもなければ「えっ、ジュース……? 5000円の……? だったらその分の現金が良いんですけど。えっ、マジでジュースなの? 重たいんだけど」ってなりますよ。みさえさん徒歩だし。
その悔しさというかね、もやもや感をね、吐き出したかっただけなんですよ。そこでね「そんなこと言うなよ」なんて言われたらね、私だったらもう「そんなのわかってらぁ!」って叫ぶところですよ(逆ギレ)。
と書くと、やはり宇部さんトコの良夫さんはその辺わかってるんだろうな、って思われたかもしれませんが、ウチの良夫さんも「そんなこと言うなよ」タイプですね。言い方はもうちょっとマイルドですが、「そんなこと言っても仕方ないじゃん」くらいのことは言います。
ていうか多分、男性はこういう感じなんじゃないのかなって。そんで、女性はみさえさんの気持ち、割とわかるんじゃないかなって思うんですよ。
私的にはですね、別にいますぐ福引き会場に行ってこのジュースを商品券と取り替えてこいとかそういうことは望んでないんですよ、さすがに。どうせなんだかんだ言って飲むんですから。
ただね、「わかるー。そうだよね、そっちの方が良かったよねぇ」って言って欲しいんですよ。そしたらね、「でも、いまさらどうにもならないしね、あはは。じゃ、飲もっか。ワー、オイシー」ってなるんですよ。
って常々思ってますし、そんな状況になったら「ここはね、『だよねぇ』って共感してほしいところだから」ってなるべく言うようにしてるんですけど、さすがにそろそろ旦那もわかってきたのか、はたまた面倒になったのか「そうだねぇ、その通りだねぇ」って聖母の笑みで言ってくれることもあります。
何かちょっと子ども扱いされているような感じがしてそれはそれで落ち着かないです。なぜだ。
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