第943話 ついつい

 職場での話なんですけど、またついついやっちまったな、っていうね。


 あっ、ちなみに今回は『13日の金曜日』に関してのお話ですので、ネタバレ厳禁! という方はここでお別れです。いや、いまさらでしょ、という方はこのままゴー!


 ジェイソンさんですわ。

 ちょっとしたきっかけだったんですよ。

 たまたま、商品の入荷遅れが発生しましてですね。コ□ナ関係で結構あるんですよ。意外なものが遅れるんです。工場が外国にあるとかそういうアレで。


 それがね、キャンプの時に使うような、ちょっとした斧みたいな。そんな斧斧しい斧じゃないんですけどね、ナイフよりはデカいかな? みたいなやつ。

 

 それを見てですよ、先輩が言うわけですね。


「何これ、何に使うんだろ。キャンプ用品みたいだけど」って。


 いや、そんなのもう一択でしょ。

 ジェイソンさんが手に取ってリア充をるためのものでしょうよ(※そのためのものではありません)。


 だけど正解は恐らく、薪にする枝を切るとかそういうやつだと思うんですね、何せキャンプ用品だっつってんですから。だけれども、つい口が滑ってしまったわけです。


「それはアレですね。ジェイソンがキャンプに来たリア充を殺る時に使うやつですね」と。


 今回もぎりぎり『ジェイソン』と呼び捨てすることに成功しました。ここで『さん付け』したら、「えっ、宇部さん、映画に出て来る殺人鬼に何で『さん付け』してんの? 憧れ? 憧憬の念でも抱いてる系?! ヤバくない?!」ってなっちゃいますから。いや、この発言が飛び出しただけでも十分ヤバい人ですが。


 するとですよ、その近くにいた男性社員がですね、まさかの参戦。


男性社員「知ってる、○○さん(何に使うんだろうって言った先輩)? ジェイソンってチェーンソー使わないんだよ?」

○○さん「えっ? チェーンソー持ってなかった? 私のイメージではジェイソンってチェーンソーなんだけど」


 おっと、これはいけません。

 こんなことを言っちゃったら、宇部さんが食いつかないわけがないんです。


宇部「○○さん、違うんです! ジェイソンはチェーンソーを一回も使ってないんです! 被害者がチェーンソーで応戦したことはありますが、彼は使ってないんです!」


 めっちゃ力説しましたわ。


○○さん「じゃあジェイソンは何を使うの?」

宇部「それこそこんな(例の入荷遅れ商品を指差し)斧です。斧というか、厳密にはマチェーテというナタで――」

○○さん「待って、宇部さん詳しすぎない?」

宇部「シリーズ10作(あとリブートのやつとフレディさんと共演したやつも)全部見ましたから!」

男性社員「やべぇ(笑)」

○○「マジかー。えー、でもさ、誰かはチェーンソー持ってなかった?」

宇部「それは別作品の殺人鬼ですね! レザーフェイスという、その名の通り、レザー(何のレザーかまでは言わなかった)のマスクを被った大男です。そいつがチェーンソーです!」


 もうね、朝から熱弁ふるうふるう。


 もうね、○○さんもリップサービスなのか「えーちょっと興味湧いて来たかもー」とか言ってくれるものですから、ちょっと強めに推しましたよね。


「『13日の金曜日=ホッケーマスクのジェイソンという殺人鬼がチェーンソー振り回してる』、という認識で見ると、第1作で度肝抜かれますよ」と。


 これでかなり気になってもらえたんですが、だけどホラーだし、ちょっと怖いしどうしようかな、って言うのでネタバレOKならもう少し詳しくお話しますよ、って。むしろちょっと聞きたいみたいな反応だったので、言ってやりましたよね。


「第1作は、ジェイソン出ません」


 そしたらもう「エエエエ――――!!?」って。


 もう欲しい反応くれるくれる。この反応が欲しいがために話してますから、こっちは。


○○さん「じゃ、2作目から出るの?」

宇部「出ますけど、ホッケーマスクではありません。麻袋被ってます」

○○さん「エエエエ――――!? じゃいつから(ホッケーマスク)なの?」

宇部「3作目からです。それも、被害者が持ってたやつを、これ良いじゃんってパクった感じです。彼の私物ではありません」

○○さん「マジか! 3作見ないと駄目じゃん!」

宇部「そうです。皆が知ってるジェイソンには会えません」


 朝から最高に楽しかったですね。

 楽しかったですけど、○○さんが私のことをどう思ったのかが気がかりです。


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