第852話 待ちわびる息子
Twitterか何かでですね、ある人がこんなことを言っていたんです。
『オタクは推しを急激に摂取すると死ぬ』
いやいや、そんなことはないでしょ、って。それはさすがに言いすぎでしょって思ってたんですけど。
いやこれあながち間違いでもないな、って。
もちろんですね、実際には死にません。むしろ死んでたまるかって話ですよ。でもね、何でしょう、主に語彙が死にますね。無声音でしかしゃべれなくなると言いますか、母音しか発声出来なくなると言いますか、出てきた言葉のほとんどが意味をなしていないと言いますか。
もうさっきから宇部さん大丈夫かって話ではあるんですけど、いつだって私はギリギリで生きてますから。ギリギリ人の形を保って、ギリギリ大人として朝起きて、ギリギリ親として子ども達を送り出して、ギリギリパート社員として働いてますから。
そろそろ何があったのか書けや、ってね思われた方もいるんじゃないでしょうか。いや、ここまでお付き合いくださった宇部ッセイ上級者なら「いやー、宇部さんならあともう少し支離滅裂なこと書き散らかすでしょうね」って冷静に分析されるかもしれないんですけど。
いやもう、怒涛のアレで。
ほら、早速『アレ』とかですもん。語彙力が致命傷なのよ。まだ回復してないの。
忍たま乱太郎の新シリーズ(29期)が終わってですね、いまは過去作を再放送してるんですね。昔は「忍たまっておんなじ話ばっかり流してるなぁ。手抜きか?」なんて思ってましたけど、いまならわかる。あれはシリーズとシリーズのつなぎだったんだ。
それがですよ。
まさかの推し回で。
主役である乱太郎きり丸しんべヱ辺りが推しだったら、むしろ出ない日の方がレアなんですけど、私の推しは土井先生と5年生なものですから、土井先生はまだしも、5年生の方はなっかなか出て来ないのです。
それがアナタ。
出るっつってんですから。
この時点で息も絶え絶えですわ。
そんなこんなでさらにギリギリで生きていたらですね、Twitterの推し閲覧アカウントでウホウホしながら推し絵をウホウホしていたら、毎日開催しているらしいお題絵60分勝負のお題が推しで!
とどめを刺しに来ている。
公式非公式ありとあらゆる忍たまのアレが私を殺しに来ている……。
で、もう色々とギリギリな中、息子の参観日があったんですね。とはいえ、参観後にPTAがあるタイプのPTA参観ではなく、好きな時間に来て子ども達の様子を見て帰ってね、という参観でして。それが10:30〜15:00とかで。
よっしゃそれなら午前中にあれこれ片付けて、給食が終わった時間に行ーこう、って。
で、お昼休みが終わるギリギリくらいに着いたんですけど。
息子のウェルカムぶりが天使で。
存在しないはずの尻尾が見える……!
これはあれだ。柴犬とかそういう犬種のあれだ。くるんって巻いてるタイプの尻尾だ。見える、見えるぞ……! 振ってる……! ひこひこ振ってる……!
そこへ現れるK先生。
K先生「あー、お母さんお疲れさまですー。息子君、ずーっと待っててー」
宇部「ずっとですか?」
K先生「みんなのお母さん、午前中にわぁっと来たんですよ。そしたら『僕のママが来ない、僕のママが来ない(オロオロジェスチャーつき)』って……」
宇部「息子ぉぉぉお!」
K先生「良かったねー、息子君。ママ来たねー」
息子「うん!」
お、お前……!
もう三年生なのにそんなに待ちわびるとかお前! 教室なのに、お友達もいるのにハグを求めてくるとかお前!(もちろん応じた)
推しで色々ボロボロのママにダイレクトアタックだよ息子! やっぱりお前がナンバーワンだよ!
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