第755話 あの日のこと
震災から10年ということでですね、ここ数日はそれ系の特番が多かったですね。
何ていうか、あっという間の10年でした。
あの日私は秋田県の秋田市におりまして、旦那と同じ職場だったんですけども、ちょうどその前の年の6月に籍を入れてたんですよ。それで、予定ではその翌年、つまり2011年の9月とかに式を挙げる予定でですね、休みの日には式場を探したりなんてしてまして。
ただ、何件目かに行ったホテルで、ちょうど2010年いっぱいで一度改装のために式場を閉めるので、もし年内に式を挙げるんならお安くしまっせ、って言われたものですから、よっしゃそんなら12月に式挙げちゃおうZE! ってなったわけですね。
その式の三ケ月後にあの震災があったわけなので、いや、早めに挙げといて良かったな、と思いました。
津波とか、原発とか、そういう話は私には語れそうもないので、もう本当にその時の我々夫婦の話をしますけども、まずあれですね、旦那が近くにいる時で本当に良かったです。
私はいまも昔も仕事の時なんかは割と『冷静な宇部さん』で通ってるんですけど、実際はかなりのビビり野郎ですし、一人じゃ何にも出来ないタイプなんですよね。だってほら、コミュ障ですしね。助けを求められないんですよ。だから、本当にありがたかったです。もし私がその時独り身だったらどうしてたんでしょうね。
そんで、さすがに仕事はそれで終わりまして、おっかなびっくり自宅に戻ったわけですよ。
あーもー絶対本棚とか偉いことになってるわー、食器棚とか倒れて食器類全部割れてたらどうしようー、って思ってたんですけど、これが案外無事でしたね。
大学生の頃に北海道でも割と大きな地震があったんですけど、電子レンジの上に置いてたガラスのピッチャーが、下に滑り止めのシートも何も敷いてなかったのに無事だったっていうのを思い出しましたね。もう絶対あいつだけは落ちて割れると思ってたのに(そして内心いっそ割れてほしいと思うくらい苦手なキャラクターがプリントされてたりするけど貰い物だから捨てられない)。
まぁそんなことは置いといて。
ただあれですね、本棚と食器棚は無事でしたが、洗濯機の上のパイプの棚(?)は駄目でした。粉洗剤が床にぶちまけられてて、それから宇部家では液体洗剤になりました。
そんでとりあえず食料を確保せねばな、ってことで旦那とスーパーに行ったんですよ。家のすぐ近くにスーパーがあったんですよ。まぁ当たり前に停電してますから、店員さんと一緒に懐中電灯を持って店内を歩いて、商品の値段を全部メモしてそれを電卓で足して――って感じでお会計する感じでしたね。
なので一度に入れる人数が決まってて、なかなかお店に入れないんですね。
それで、旦那と何か会話しながら順番を待ってたんですけど、出て来るお客さんがですね、どういうわけか皆玉子を買ってるんですよ。
えっ? 災害時って玉子買ってた方が良いの? って。そう思うわけですよ。カップ麺とか缶詰とかそういうものだとばかり思っていたけど、皆が買うってことは玉子なんだ! って。
で、やっと順番が来たわけなんですけど、特に皆さん玉子を買ってる様子はないんですよね。あれれおっかしいなぁと思いつつも、まぁ別に買わなくても良いかな、なんて思っていざお会計、と。
そこですべての謎が解けたわけです。
そのスーパー、何曜日だったかは忘れたんですが、確か2000円以上お買い物をすると玉子を一パックプレゼント、っていうのをやってるところだったんですよ。そして、どうやらそれがその日だったんですよ。なので、レジカウンターに卵のパックが山と積まれておりまして。そんで、皆さんやっぱりあれこれ買うものですから2000円なんて軽く超えるわけですよね。
だから皆玉子を持ってたんですよ。
なーるほど、ってね。いや、こんな時にもやらなくても、とも思うんですけど、用意しちゃってたわけですしね。
で、電気が通ってないために暗くて寒い家に戻りまして、それでもガスがプロパンなので割とすぐに使えるようになったものですから、早速茹で玉子作って食べたな、っていうのが印象に残っています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます