第735話 コメディエンヌに恋愛は難しい
40年近く生きてますと、そりゃあ人生の中で、一瞬「あっ、いまの私のジャンル『恋愛』だな」って思うような時があるわけですよ。普段は全然『現代ドラマ』なのに。
このまっっっったくモテなかった私にもですよ、恋愛漫画とかでチラッと見たようなシーンに遭遇したりするわけですよね。何、今回の脚本家さん誰? 気合い入ってんじゃん! ってね。あとは作画(私自身)の方ももう少し頑張ってくれればなー、なんて。
ただまぁ、そんなジャンル変更がちょいちょいあったのは学生の頃でして、大人になってからは旦那とのお付き合いや結婚の前後すらもコメディ寄りの現代ドラマだったものですから、とんとその『恋愛』ジャンルから遠ざかっているなぁと思っているわけです。
ちなみに私の精一杯の恋愛回はですね、体育の時にバレーボールがかなり高いところ(梯子で上らないといけない)に飛んでっちゃって、当時委員長だったものですから、ちょっと張り切って取りに行ったは良いけれど、めちゃくちゃ高くて上りきったところで怖くて降りられなくなってたら、その時好きだった男の子が助けに来てくれた、ってやつですね。
どうよこのキュン展開!! 私にだってそんなやつあったんだぜ、オラァ!
えーと、そんな私史上最大の胸キュンイベントの結末なんですけど。
結局、もう恥ずかしくてわけわかんなくなって、そのボールを下にぶん投げて、自力で降りた、っていうね。これもうちょっと胸キュンマシマシでいけたんじゃない? 上の方で待ってたらそんな胸キュンマシマシ展開になってて私の青春の1ページに刻まれてたんじゃない? もちろんその男子とは何の進展もなかったですしね。
もう私の恋愛回そんなのばっかり。
とにかくですね、そういうキュンな展開に縁がないものですから、いざそういう雰囲気になっても、耐えられないんですね。ここでその展開に乗れるのが『ジャンル:恋愛』のヒロインなんだな、って。
そんなこんなで順調にコメディタグ有りの現代ドラマでコメディエンヌとして生きてきた私なんですけど、それでもやはりそういう胸キュンへの憧れはあるわけですよ。私だって壁ドンとか顎クイとかそういうのされたって良いじゃない、と。
ってことで、やってもらったんですよ。試しに。旦那にね。
もうね、駄目でしたわ。
壁ドンなんて完全にカツアゲ現場でしたし、顎クイはぞわわってなって奇声を発しましたわ。もう全然向いてない。小説や漫画、映画ならキュンとくるのに、実際にやられると何かもうぞわぞわしちゃって無理。お前ここから私に何をする気だと、思わず距離取ってファイティングポーズでしたわ。格闘技なんてやったこともないのに。
あと普通に、顎って触られるの嫌じゃないです?
嫌じゃないです? って知らねぇよ、って感じかもですけど。
いや、普通に嫌ですよ。ここ触られるのって、理容室(小さい頃は理容室で髪を切ってもらってた)で顔の産毛剃ってもらう時くらいでしょ? その時でさえ「このまま首を切られるのでは」みたいなこと考えちゃうのに。どうしてイケメンはそこを掴むんでしょう。ヒロインもほいほい掴まれてちゃダメですよ。これ相手がジェイソンさんだったらそのまま首バッサーって切られるからね? 全く危機管理がなってません。
そんなことを考えてるから私はコメディエンヌなんだな、と。
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