好きなことを、好きなだけ

第727話 ヤギと羊

　違いますって。

　ジンギスカンの話じゃないですって。

　やだなぁ私が道民だからといって、羊＝ジンギスカンなんてことありませんから。

　先日、お風呂に入ってた時のことなんですけど。

　あれやこれやを洗って湯船につかり、呼び出しボタンを押して他のメンバー（こうやって書くとアイドルグループみたい）を呼びますと、きゃっきゃと全裸の子ども達がやって来るわけですね。マジ絶景。

　そんで、何でも自分でやりたいお年頃の娘ちゃんが頭をわしわし洗っておりますと、その順番待ちをしている息子君がですね、突然、

「メエ――ェェェェェェ」

　って鳴き出すわけですね。

　何でしょう、明らかに動物の鳴き声なんですけど、あの可愛い感じの「めぇー、めぇー」みたいな、『THE子どもの動物鳴き真似』じゃないんですよ。めちゃくちゃ喉を震わせて来てる。江戸家猫八さんばりに喉使ってきてるんですよ。まぁ、ぶっちゃけ江戸家猫八さんのことはいまいち知らないんですけど、旦那がそう言ってたので書きました。知らない人はググってくれ！

　子どもが動物の鳴き真似するやつなんて、もう最高に可愛いやつじゃないですか。それだけで視聴率も上がるし、YouTubeだったら再生回数爆上がりだし、インスタだったらバズりまくってるはずじゃないですか。

　いや、実際ね、可愛いんですよ。

　何でお前そんな本格派なの、って部分で。

　そんでまた、可愛さのかけらもないリアルな鳴き声を出してるその顔面偏差値（宇部基準）の高さよ！　お前いますっごい顔してるからな？　そういう部分も込みの可愛さだから！

　突然すぎるわリアルすぎるわで、思わず吹き出したんですけど、まさかそれだけの反応で終わるのも可哀相ですから、

宇部「息子君、ヤギさん上手だね」

　宇部家ではなるべく褒める時は具体的に、をモットーにしております。理由は、私だったらそっちの方が嬉しいからです。なので、そう言ったわけですよね。

　そしたら、

息子「ママ、これヤギじゃないよ」

宇部「あれ、そうだっけ。あー、羊の方か。ごめんごめん、ママごっちゃになっちゃってたわ」

　いやぁお恥ずかしい。

　この年になってヤギと羊の区別もつかんとは。ごめんな、ママ、羊に関しては食べるの専門なんだ。

　でもですね、何か私の中で、ヤギもメェメェ鳴くような気がしてたんですよ。ていうか、メェメェじゃなかったら、なんて鳴くのよ、って思ったりして。

　そしたらですね、スウィートプリティボーイの息子君がですね、教えてくれたわけですよね。

息子「ママ、ヤギはこうだよ『バア――ァァァァァァァァ』！」

宇部「！！？？」

　何いまの音？！

　声っていうか最早『音』！

　いままで40年近く生きてきて確実に一回も聞いたことないって断言出来るレベルの異音！　いや、怪音！！　何これ！

　お前のそのさくらんぼのような可愛らしい唇から何かとんでもない音飛び出したけど大丈夫？！

　もうね、色々心配になるレベルの鳴き声を披露されまして。

　どうにか音声だけでもどうにかネットに上げられないかなって思ったくらいですよ。ていうか、ヤギってこんな声で鳴くの？　本当にこうやって鳴くとして、ママが知らないことを君はどうやって知ったの？！

　そんであとからYouTubeでヤギの鳴き声を検索したんですけど、まぁ『バア――ァァァァァァァァ』って言ってるかはわかりませんが、それっぽい鳴き声でした。あんなに可愛いのに、鳴き声全然可愛くないの。

　ちなみに息子はゴジラの鳴き声も完コピしてます。ガオーとかギャオーじゃないんですよ『ッア――ゥオォン』みたいなやつ。これ文字にするの難しいな。とりあえず、聞いたら絶対「そうそう、ゴジラってそう！」って思う感じの鳴き声をやってくれます。

　何でこいつそんなに本格派なんだよ。どこに向かってるんだ、息子。