令和3年2月
第713話 ナンバン
今日は、『南蛮』について語りたいんですよ。
南蛮、わかります? ほら、鴨南蛮そばとか、カレー南蛮そばとか、チキン南蛮とか。
あら、今日の宇部さんったら、本題に入るまでがスマートね? って思いました? いや、私だってね、本気を出せばこれくらいのことは出来るんですよ。いつもはちょっとふざけてるだけです。こういうのをね、能ある鷹は爪を――って、だからこういうことを書くなよ。
私、この『南蛮』って七味唐辛子とか一味唐辛子とか、とにかく唐辛子のことだと思ってたんですよ。というのも、実家ではそれらをひっくるめて『南蛮』と呼んでいたからです。
余談ですが、ウチの実家では飼っていた金魚(毎年縁日で釣ってくるものの、あっという間に死んじゃう)が弱ってくると、ママンがその七味だか一味だか(つまり南蛮)をちょびっと与えてましたね。あれ何だったんだろ。ショック療法? 確かにちょっと復活するんですけど、絶対やっちゃダメなやつだと思う。
それでですよ、どうやら調べてみたところ、北海道ではやっぱり唐辛子のことを『南蛮』って呼ぶらしくて。ああ良かった、ウチだけじゃないんだ、なんて思ったりしてですね。
だから、その鴨南蛮とかカレー南蛮とかチキン南蛮って辛い物なんだ、って思ってたわけです。確かに鴨南蛮そばって唐辛子がパパっとかかってるイメージですし、カレー南蛮にかかってるかはわかりませんけど、カレーだからたぶん辛いんだろうし、チキン南蛮にもパパっとかかってるような気がしますし。
というわけで、旦那に聞いてみたわけですよ。いつものごとく、わからないことはまず旦那に聞け、でお馴染みの私ですから。
宇部「あのさ、鴨南蛮とかの『南蛮』って何?」
旦那「え、何だろう。わかんないなぁ」
あの立て板に水でお馴染みの旦那にもわからなかったんですよ。ビヒダス(※654話)とヤキソバン(※711話)は出てきたのに!
旦那「南蛮……南蛮……。南蛮由来の……何か?」
宇部「南蛮由来の……か。成る程、その線か……」
なんて、お蕎麦屋さんで。
そう、この時の我々は夫婦でお蕎麦屋さんにいたのです。写真がとても美味しそうでカレー南蛮にトライしてみた時のことでした。あんまり辛くなくて美味しかったです。それは置いといて。
しかし、旦那にもわからないとなるともうお手上げですから。Googleさんに聞くしかもう手立ては残っていないわけです。
教えて! Google先生っ!
Google先生「鴨南蛮の『南蛮』ってネギのことやで」
ハァ?
唐辛子じゃないの?
よりにもよってネギなの!?
言われてみれば確かにこのカレー南蛮そばにもネギは入ってたけども!
えっ、それじゃあチキン南蛮は? あれってネギ乗っかってたっけ? まぁ言われてみれば乗っかってたような気がしないでもないけど……乗っかってたかなぁ。
Google大明神「チキン南蛮の『南蛮』は『南蛮漬け』の方やな」
成る程!
もうね、頭の中の霧が晴れたよう――っていうかね、すごくすっきりしましたね。これでもう辛さに怯えることなく鴨南蛮そばとかカレー南蛮そばを注文出来るわけですよ。
ただひとつ問題があるとすれば――、
私、ネギ嫌いなんですよね。
お店の雰囲気と子ども達の有無によっては「ネギ抜きって出来ます?」って店員さんに申し出るくらい。ダメな時は旦那のどんぶりにこっそり移すくらいのネギ嫌い。
だけどその『○○南蛮そば』を注文する時点でネギ了承済みみたいなところありますからね、まさかネギ抜きで、なんて言えませんよ。そんなの「月見そば、玉子なしで」って言ってるようなものですから。
どうやら『○○南蛮そば』とはこれからもそれなりの距離感で付き合っていく感じになりそうです。
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