第711話 たぬきやっこ

 まーた大豆の話かよってやつなんですけど。

 いや、大豆部分はほんとにもうさらっとですから、さらっと。ご安心ください、導入だけですって。――って、『導入』と『豆乳』って似てるよな、とか一瞬考えちゃったけど、それはまぁ良いです。親父か。


 ある日の朝食後にですね、旦那が「たぬきやっこだって。見てこれ、美味しそう」って画像を見せてきたんですよ。

 ほぉ、どれどれ、と見てみますと、冷ややっこの上に天かすとネギかな? とりあえず緑色の何かが乗ってまして。


 そういや私がよく見ているお料理系YouTubeでもお豆腐にざらざらーっと天かすをかけてその上にネギを乗っけたやつやってましたわ。もちろんそれがメインとかじゃないですけど。へぇ、これってたぬきやっこっていうのね。


 しかしですね、冷ややっこの上に油の塊ですよ。カロリーオンザヘルシーですよ。この表現であってるのかわかりませんけど。さっぱり食べたいのか、こってり食べたいのかどっちなんだお前。って思ったわけですが、いや、嫌いじゃないぜ、そういうの! というわけで、今度作ってみよう、と思ったわけなんですけど。


 ここでふと思うわけですよね。


 旦那はその画像を見ながら「揚げ玉美味しいよね」とか言ってるわけです。それに対して私は「ほぉ、天かすねぇ」って言ってるわけです。


 揚げ玉なの? 天かすなの?

 結局同じものを指しているわけですが、言い方が違うんですよ。


宇部「あのさ、これって『揚げ玉』なの? それとも『天かす』なの?」


 わからないことはググる前に旦那に聞く。それが私です。旦那がいない時はすぐにスマホに手が伸びるんですけど、旦那がいるなら旦那に聞きます。その方が面白い答えが返ってくるからです(酷い)。


 するとですね、さすがは旦那ですよ。もう立て板に水って感じでさっと答えてくれたわけです。


旦那「ヤキソバンが『揚げ玉ボンバー』って技出してたから、『揚げ玉』じゃない?」


 さすがは『ビヒダス』の時(※654話)も「ビフィズス菌で出す」と即答した頭の回転の速さ。何でヤキソバンとかすぐ出てくるんだ。最高かよ。全く惚れ惚れしちゃう。さては貴様、IQ180(金田一一君レベル)だな?! ヤキソバンがわからない人はググってくれ!


 まぁ、あとから調べたら、西と東で呼び方が違う、みたいなやつらしいですね。結局あとから調べるのかよ、ってね。いや、だってほら、調べもしないでヤキソバンのだけで断定しちゃったら炎上するかもしれないでしょ。怖い怖い。


 それでですよ。

 その西と東でどっちが『天かす』でどっちが『揚げ玉』なのか、って話なんですけど。

 

 上記のやり取りでもわかるように、旦那は『揚げ玉』と言い、私は『天かす』と言ってるんですね。ですが、出身地は旦那が秋田(東)、私が北海道(東)なんですよ。つまり、本来は呼び方が一致しているはずなんですよ。どっちが間違ってるんだ。いや、間違ってるとかじゃないけど。


 もうおわかりですね。

 キャラクター的に、もうおわかりですね。


 そう、東が『揚げ玉』で、西が『天かす』でした。どうやら、意図的に作るか天ぷらの副産物として偶発的に作られたか、っていう違いなんかもあるらしいですけど、そこは一旦置きます。とにかく、東の方では『揚げ玉』と言い、西の方では『天かす』と言う、らしいです。


 私は一体どこで『天かす』を知ったんだ。

 ていうかそもそも私、たぬきうどんとかそばとかって食べないし(きつね派)。ていうか、何ならたぬき○○って天かすじゃなくてかき揚げが乗っかったやつだと思ってましたし。


 ちなみに、北海道ではたぶんとん汁のことをぶた汁って言うんですよ。私も実家ではずっとそう呼んでたんですけど、全国チェーンのレストランでバイトしている時、そこのメニューがとん汁表記で。それで気付けばとん汁って言うようになってましたね。何か都会な雰囲気があったんですよ。

 

 そういう前科(?)があるものですから、たぶんそんな感じで『天かす』って言うようになったんだろうな、って。

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