第679話 ロミオとジュリエット

 いやほんと、油断するな、って話ですよ。

 数日前には常に5、6話くらいあったストックがですね、もうないっていう。ストックがある状態でも毎日何かしら書き続ければ不測の事態が起こってもどうにかなるんですけど、いま何か起こったらアウトですからね。


 というわけで、カッツカツの際にはやはり子ども達に助けてもらいましょう……と思ったんですが、こちらもこちらでまさかのネタなし! さぁどうする、ってこんなぐだぐだで1話持たせるわけにもさすがに行かないわけですから、私が仕事中に考えていた話をですね、まぁ面白い話ではないんですけど書いておこうかな、って。


 ロミオとジュリエットの話なんですよ。


 先日ですね、カクヨムではないんですけど、アマチュアの方の作品でですね、こういう話を読みまして。わかりやすいように配役をドラえもんのキャラクターでざっくり説明いたしますと、


 時は流れ大人になったしずかちゃんとのび太君は離れて暮らしておりました。別に恋人というわけではないものの、お互いに想い合っております。しずかちゃんはちょっと病弱で仕事を辞め、ひとりで暮らしておりまして、近くにはドラえもんが住んでいてたぶんあれこれ世話を焼いてくれています。のび太君は仕事が忙しく、なかなかしずかちゃんに会いにきてくれません。が、やっと都合がつき、のび太君はしずかちゃんの家を訪ねるのですが、


 そこで出迎えたのはドラえもん。

 のび太君がしずかちゃんに会いに来たというと、ドラえもんは悲し気な顔で、「会ってやってくれ」と彼を部屋に招き入れます。


 もうこの時点で嫌な予感しかしないわけです。この間、もうさんざんしずかちゃんが弱ってるシーンが差し込まれてますから。


 誰もいない部屋に通され、しずかちゃんは? とのび太君がドラえもんに尋ねますと、彼は小さな壺を渡すのです。もうわかりますよね、その中身が何なのか。


 のび太君はその壺を抱きしめて泣くわけですよ。

 で、しずかちゃん! と名前を呼ぶわけですよ。

 すると――、


「呼んだ?」

 

 ってふすまがパァーンって開いてしずかちゃんが出て来る、っていう。


 もちろんしずかちゃんが仕込んだわけではなくて、ドラえもんの仕業なんですけど。あまりにもしずかちゃんを待たせるもんだから、彼女がトイレか何かちょうど席を外していたのを良いことに一芝居打った、っていう。


 って話を読んでですね、ふと思ったんですよね。


 そうか、日本だと火葬だからこの手が使えるんだよな、って。ほら、欧米だと土葬じゃないですか。ロミジュリってイタリアの話らしいんですけど、イタリアって土葬ですよね? ていうか、あの時代なら普通に土葬か。それを言ったらその時代なら日本でも土葬かもしれませんけど。


 なのでまぁ、近代の日本でロミジュリやるってなったら、そんでシェイクスピアが私だったら、たぶんこの方法をとるよな、って。そうなるとそのアマチュア作家さんのパクリになっちゃうんですけど、ちょっとそこは置いといて。


 でもこれだと後を追う、っていうシーンが書けないんですよね。ジュリエットが死んだ! 僕も死のう! ってところがなくなっちゃう。骨壺(のように見える蓋つきの壺)を抱きしめて「ジュリエット――!!」って絶叫したところで「はーい」って出て来ちゃうわけですからね。「生きとったんかーいっ!」で終わりですよ。


 いや、待てよ。「畜生、ジュリエットのやつめ、僕を騙すなんて……! 仕返ししてやる!」みたいなよくわからない拗らせ方をしたロミオが、似たようなドッキリを仕掛けてジュリエットを騙し、それに怒ったジュリエットがさらに……というドッキリ合戦パターンに持ち込めば後追いシーンの代わりになるんじゃないか?



 ……というのを年の瀬のクソ忙しい中、キンキンに冷えた倉庫の中で考えたりしていました。


 働け、宇部。

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