第654話 違うのかよ!

 腸内環境って大事じゃないですか。

 たまって良いのはお金と、このエッセイのストックだけなんですよ。お腹の中のあれやこれやは早め早めに出してしまいたいお年頃。


 しかし、ここ最近どうにも言うことを聞いてくれなくてですね、お腹の中の居候さんがなかなか出ていってくれないものですから、ちょっとこれは外部の力を借りないとな、ということになったわけです。


 ――え?

 今回はまた随分と濁した書き方だなって? もっとはっきり書けやって? 恥じらうような年でもねぇだろって?


 ええ、確かにその通り。しかし私もかつては花も恥じらう乙女だったんですよ。トイレの三文字が言えなくて、お花を摘みに行ってきますわねホホホホ、と言ったあの頃――の記憶は確実にないっていうか、むしろ「ちょっと○○○出してくる」くらいのことは言っていた気がしますけど。そんな女子でした。何の話だ。


 まぁとにかく、体内から便を出してぇ、っつう話だコノヤロー。


 というわけで。

 もう腸内環境をどうこうするってなれば、ヨーグルトじゃないですか。色んなものが気まぐれに流行っては消えていくこの時代でも、腸内環境をどうこうするってなればヨーグルトじゃないですか。もう何十年もこの業界でトップの座に君臨してるじゃないですか。


 もう出すったらヨーグルトみたいなところある。


 よっしゃそんならいっちょ始めてみっかな、ヨーグルト習慣! ってな感じで、何かそんなCMとかありそうな勢いでヨーグルトに手を出してみた私です。


 さて、ここで躓くわけですよ。皆さんもちょっと思い浮かべてみてください、最寄りのスーパーのヨーグルト売り場を。


 すんげえ種類あんの。

 とりあえず、果物とか入ってる4個パックのやつとかじゃなくて、あのでっかい容器のやつを買おうと心に決めて挑んだんですけど、それでも種類が豊富なの。ブルガリアからナチュレからビヒダスから。そんでそれらもさらにやれ低脂肪だなんだって枝分かれしていくの。ちょっとこれ何で選んだら良いのよ。


 軽い気持ちでヨーグルト道に足を踏み入れた人間を試してくるの。それなりの覚悟を持って来てんだろうな貴様、って、あの青系の容器達(だいたいヨーグルトって青っぽいイメージ)が睨み付けてくるの。

 

 み、見透かされている!?

 何の下調べもなしに乗り込んできたことを見透かされているのか!?

 悩んでいる時間はない。とっとと帰ってご飯仕度をし、エアロバイクを漕がなくてはならないのだ。お買い物タイムは20分以内と決めているっ!


 ならば答えはひとつ!


 一番安いやつさ!!


 というわけで、セール中だったビヒダス(青い蓋の低脂肪タイプ)をチョイス。無事、私のヨーグルトライフが幕を開けたのです。


 ま、いまのところこれといって手応えはないんですけどね。普通に美味しいので食べてます。


 で、ふと思ったんですけど、『ビヒダス』って何。


 ブルガリアヨーグルトは何かわかる。ブルガリアのヨーグルトってことでしょ? ブルガリアがそんなにヨーグルトで有名なのかは知らないけど、ブルガリアったらヨーグルトみたいなところある。

 

 ナチュレもまだわかる。natureネイチャーをローマ字読みした感じでしょ? ネイチャーとヨーグルトがどう結びつくのかはまったくわからないけど、でも自然な感じってのはまだわかる。うん、ヨーグルトって何か自然な感じするもん。


 けれどビヒダスよ。ビヒダスって何なのよ。さんざん美味い美味いって食っといてアレだけど何なのよ。


 だから旦那に聞いたわけです。私の疑問なんて、だいたいのことは旦那に聞けば解決するんですよ。そしたら、


「『ビフィズス菌』で『出す』から『ビヒダス』なんじゃない?」


 どうですか皆さん。この完璧な解答! 少しも悩むことなくさらーっと出てきましたから。何この人天才なんじゃない? ジーニアス!

 

 でも、だとしたら、相当直接的な表現のヨーグルト食ってんな、私! 逆に潔し! ただ、その割に出てねぇけど!


 とまぁ、そんなこんなで旦那すげえって思ってたんですけど、


「あっ、ごめん。いま調べたら違うっぽい」


 違うっぽいそうです。まじかよ。 

 ビフィズスって『bifidus』って書くみたい。成る程、これなら納得のビヒダス。

 

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