第636話 心底どうでも良い!

 相変わらずお絵描きブームの娘ちゃんですが、先日ここでも書いた通り、彼女は受注生産型。

 何が大変ってですね、とにかく描くのが早いんですよ。

 そんでめちゃくちゃ褒められるものですから、気を良くして次から次へと描くんですよね。


 だからもう1日一緒にいるとですね、


「ママ、次はなにかいてほしい?」

「ママ、好きなどうぶつはなに?」

「ママ、好きなキャラクターなに?」


 こんなのがもう10分おきくらいにあるんですよ。

 もうね、ないですよ。

 そんなにそんなに描いてほしいものなんて浮かびませんって。

 もうね、こちらの絵描きさんったら、ごく普通の『いぬ』『ねこ』『うさぎ』辺りはもう描き飽きてしまっているのか、軽くNG出してきますから。多少変わったやつといいますか、なんていうんでしょう、あまりに簡単すぎてつまらないのかもしれません。いや、そこでNG出すならもうアナタ好きなの描いて?!

 

 よぉしそれじゃあ変わった動物出してやろうじゃん。『ハシビロコウ』『チベットスナギツネ』『スベスベマンジュウガニ』、これでどう? とはならないわけですよ。そこまで変わったやつだとダメなんですよ。まったくわがままな絵描きさんですよ。


 そんで相変わらず理想のお部屋の間取りも描いてます。兄は相変わらずヒーローや怪獣を描くのが好きなようですが、妹は理想の家づくりに余念がありません。


 そんな娘ちゃんがですね、寝る前に何やら旦那のところに行ってですね、


「パパ、ママとにいににはナイショだよ」


 とか言うわけですね。ぶっちゃけその件は丸聞こえだったりするんですけど。

 そしてあれね、基本的に夫婦間に内緒っていうのは無しだから。娘ちゃん、残念だけど、そういうシステムだから。――え? それじゃあカクヨムこれは何なのよ、って? うん、何なんだろうね。不思議。それは置いといて。


 ちなみに後からこっそり旦那に教えてもらったところによりますと、


「大きくなったら建てるお家はね、二階は半分食べるところで、もう半分は赤ちゃんのルームなの」


 ということらしく。

 

 いや、また理想の家の話かよ。

 二階にキッチンとかリビングとかがある感じなのかな?

 すごいですよ。二階の半分が『食べる』に特化した部屋で、もう半分が赤ちゃんの部屋、いやルーム! なぜルームって英語にしたんだ! 旦那は特に『ルーム』部分が気になって仕方がなかった模様。よく知ってたね、その単語、偉いね!


 そして、お次は娘ちゃん、私のところへも来てくれました。そして、やはり耳元でこそこそ話し出すわけです。


「ママ、パパとにいににはナイショだよ」


 もうとことん兄には内緒の構え。お兄ちゃん可哀相すぎる。


 しかし、娘ちゃんのお口から、どんな秘密の花園が飛び出すやらと、ちょっとワクワクしながら待っておりますと――、


「わたし、大きくなったらおうち建てるんだけど、トイレはどこに作ると思う?」


 心底どうでも良い!

 トイレの場所なんてどうでも良い!

 どこにでも作れ!

 各階に作れ!

 一ヶ所だけだと朝が地獄だ!


 もうね、心底どうでも良すぎて吹き出しましたよね。

 いきなり吹き出したから娘も旦那もびっくりしてましたわ。


 たかだか5歳児のひそひそ話で「ブフォ!」ってなりましたわ。

 とんでもない破壊力でしたよ、耳元で「トイレはどこに作ると思う?」って。

 幼児のウィスパーボイスで内容がトイレの設置場所とか、ギャップ!


 というね、心底どうでも良い話を書かせていただきました。


 恐らく私以上にこれを読んだ皆さんが心底どうでも良かったと思います。


 ちなみに、トイレは一階と二階に作る、ということで落ち着きました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る