第625話 JKの時の事件
意外かもしれないんですけど、この私にも
ですが、やはり若さですよ。
例え、むしろいまの方が肌の状態が良かったとしても。いや、若い頃はニキビが酷くてですね。
制服は上も下も真っ黒の可愛げもないセーラー服だったんですけどね、それでもほら、やれルーズソックスだ、だぼっとしたセーターだ、ってね、そういうのを合わせて、精一杯都会のJKに近づこうとするわけです。まぁ、その頃には、実は都会では既にルーズソックスは下火になっていて紺のハイソックスだったらしいんですけど。
さてそんなJKの私、スーパーの衣料品部門でアルバイトしておりました。規模は全然違いますけど、イオンの衣料品コーナーみたいなのを想像していただければ。婦人、紳士、キッズの衣料をざっくり扱ってまして、もちろん下着肌着なんかもある感じの。
そこでですね、ちょっとした事件が起こったわけですね。
私がエスカレーター近くのおばちゃん下着ワゴンの中の商品をきちきちと畳んでいた時のことです。
何やら視界の隅で何かがうごうごと動いているんですね。私の右斜め後方の床の辺りでした。
えっ!? 何!?
そう思ってそちらを見ますと――
おじさんでした。
スーツを着たおじさんが、床に這いつくばっていたのでした。イメージとしては小銭とかコンタクトとか探すような、あんな感じです。
なので、
「小銭かコンタクトでも落としたのかな」
「大丈夫ですか?」と。
そしたらおじさん、むくりと立ち上がりまして、そそくさと行ってしまわれたわけです。あれ? 小銭かもしくはコンタクトレンズは? 良いの!? 諦めちゃうの、YOU!?
そんで、当時の上司(正社員のおばちゃん)に話したわけですよ。何ていうか、
「さっきこんな感じのお客さんがいたので、もしかしたらあの辺に小銭かコンタクトレンズが落ちてるかもしれません」
てな感じで。
ええ、何せ、
基本的にモテたこともないですし、自分がそういう対象に見られるなんてこれっぽっちも思っていないわけですよ。田舎で、そういう犯罪もなかった(子どもの耳に入ってなかっただけかもですが)ですし。だから、その可能性に全く気がつかなかったんですよ。
それに、自分の父親くらいの年齢のおじさんでしたし、その当時はそれくらいの年齢の男性が女子高生のスカートの中に興味があるとは思わなかったんですよ。
もうね、おばちゃん激怒ね。
カンカンに怒ってフロア内を山狩りしてましたね。結局見つかりませんでしたけど。
とまぁそんな感じでですね、例えばそれがきっかけで男の人が苦手に――とかそんなことはないんですけど、いやほんと、ぼけーっと生きてちゃいけないなってね、思いましたよ。娘にもその辺はよく言って聞かせないといけません。
それから息子には、落としたものを拾う時は必ず近くにスカートを履いた女性がいないかチェックしろ、と教えようと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます