第594話 お金はいつから
息子が、お金の勉強をしてきました。
いや、厳密にはお金の勉強ってわけじゃないんですけど。
単に算数の問題で百円玉とか十円玉が出てきた、っていうだけのやつなんですけども。
どうやら過保護らしい宇部さんはですね、まだ息子に『はじめてのおつかい』をさせていないのです。
理由としては、家が住宅街にあって、一番近いお店まで結構歩く(子ども的に)というのと、その道中に歩道が存在しない、というのがあげられます。
とはいえ、はじめてのおつかいを見てみますと、皆さん息子よりも小さいお子さんになかなかの大冒険をさせていらっしゃる……。いや、あれはね、こっそりスタッフさんがついてきてますからね? もし何かあっても大丈夫、みたいなのがあるじゃないですか。
それじゃあ、息子にゼッケンみたいなの着せて、それの背中に『はじめてのおつかい撮影中』って書いときゃ良いんじゃね? ってスーパーナイスアイディアを思いついたんですけど、スーパー田舎町ですからね、息子の周り、だーれも歩いてませんから。えっ、それじゃ誰がどうやって撮影してんの? 望遠のカメラでどこかの建物から撮ってんの? そんなゴルゴ13みたいなことしてんの? って逆に怪しいかもしれません。もう首から超特大の『お守り』をぶら下げて、その中に小型カメラとGPS仕込むしかないです。
とまぁ、はじめてのおつかいもそうなんですけど、親が見守る中でも、息子ひとりでレジに並ばせる、という経験があんまりなくてですね。まずはそういうところからさせた方が良いな、と思っております。
で、そんなことを考えてですね、ふと思ったのが、
「お金って何歳からあげたら良いのかしら」
っていう。
いや、毎月のお小遣いはですね、私的には中学生からかな、って思ってるんですけど、そうじゃなくて、何かこう……お駄賃的なやつですよ。私は中学2年生からお小遣いがスタートする過程だったんですけど、小学生でも、なんかちょいちょいもらってたんですよ。例えば、お買い物のおつりがそのままもらえたり、あとは肩叩きしてもらったりだとか。
お金っていうのはただで湧いて来るもんじゃないんだぞ、みたいなことを学んでもらいたい、ということで、「このお金はパパとママがたくさん働いたやつなんだよ」、みたいなのは常日頃から言い聞かせているんですけど、もっと体感してほしいな、と。
となると、やはり、お手伝いやら何やらに報酬を――、とも思ったんですけど、そうなると、今度は何事も報酬ありきで動くようになったりするんじゃないかしら、とか考えちゃってですね。あっ、それなら、おもちゃのお金にしたらどうかしら。確か『いらすとや』にお金のイラストもあったはず。アレを印刷して――、って、これはもう完全に私がお店屋さんごっこをしたいだけだ。
何か子どもが大きくなる度に毎回こんな葛藤してますわ。やらせてみようかな、いや、でも、みたいな。
自分の親もこんな風にあれこれ悩んだのかな、なんて考えちゃいますね。
ちなみに宇部父は割とお金で釣ろうとする傾向にありましたが、それが何か嫌でしたね。肩叩きとかしても頑なに報酬は受け取らない子でした。いまも親からお金をもらうのって何か苦手です。大学生の頃は仕送りとかもらってたんですけど、それ以外で、何か帰省時にこそっとくれたりするわけですよ、交通費だ、とか言って。かかった分だけもらって、差額は返してました。松清はそういうところ可愛くないんだよなぁ、って言われましたね。
なのでまぁ、もしかしたらウチの子達も報酬としてお小遣いをチラつかせても、「いらなーい」って言ってくる可能性がありそうです。
それよりは『パパのスマホで動画を見ても良い権利』とかの方が食いつきそう。いや、お金の勉強の話じゃなったのか。
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