令和2年10月

第590話 おるすばん

 ここでも何度も書いておりますが、息子は7歳、小学2年生です。

 私としてはそうでもないと思っていたんですが、先日、職場の上司からこんなことを言われたんですね。


「宇部さん、過保護過ぎない?」


 と。


 一人で歩かせるとか、留守番とか、お買い物とか、もうさせても良いと思うよ、という。

 どうやらその上司はかなり早い段階でそれらをさせてもらっていたらしく、行動する時は常に手を繋ぐであるとか、商業施設のトイレに行く時はドアの(さすがに個室じゃなくて男子トイレの)前で待ってるとか、自分がトイレの場合も必ず女子トイレのドアの前で待っててもらうとか、そういうのが信じられないのだそう。


「おもちゃコーナーで遊ばせてるうちに買い物とかトイレとか済ませないの?」

「私の目の届かないところにいてさらわれたらどうするんですか!」

「まぁ……そうだけど」


 とはいえ。

 まぁ確かに、いつまでもこの調子というのはさすがにまずいかもしれない。


 そう思いまして、恐る恐る、まずはお留守番からやってみることにしました。


 ちょうどおあつらえむきに、洗濯洗剤が切れてしまっていたので、家から歩いて5分くらいのところにあるドラッグストアに私ひとりで行く、というミッションを実行することになりました。いや、違う。間違えた。これだと私のはじめてのおつかいみたいじゃないか。正しくは、ママがドラッグストアにお買い物に行ってる間のお留守番ミッションです。


「息子君、ママ急いで帰ってくるからね」

「うん!」

「ピンポン鳴っても絶対に出たら駄目だからね」

「わかった!」

「キッチンに近付いたら駄目だよ。お茶が飲みたくなったら、ほら、水筒に入れたから、これ飲んでね?」

「うん!」

「それじゃ行ってくるね、息子君」

「行ってらっしゃーい!」


 この温度差ね。

 息子はね、テレビとお絵描き道具さえあればね、ぜーんぜんなんですわ。もうぜーんぜん10分とかそれくらいのお留守番出来ましたわ。そりゃそうか、2年生ですもん。


 さて、この『息子君はテレビが自由に見られて、且つお絵かきセット(潤沢なコピー用紙、そして筆記具)があれば短時間のお留守番は可能』という情報は瞬く間に実家にも伝わりまして、土曜日に息子を見ていてくれるオバーバ(姑さん)も早速実行に移した模様。


 なんとその際には、電話の応対までこなすというウルトラCも決め(出なくても良いよ、と言うのを忘れ、留守電の設定もしていなかった)、我々、過保護ーズ(両親&祖父母)を驚愕させたのでした。


 なんだ、色々出来るんじゃん、っていうね。

 それでもお留守番させている間は落ち着きませんね。一分一秒でも早く帰らないとと思います。


 ウチはオール電化ですし、喫煙者もいないので、身近なところに火はないんですけど、例えばコンセントに何かをぶっ刺すですとか、トースターの中に可燃性のものをぶち込むですとか、電子レンジでアルミホイルをチンするですとか、やろうと思えばなんだって出来るわけです。ましてや息子は私がずーっと目を光らせておりましたので、その手のいたずらはしたことがないのです。それで怒られた経験がないものですから、これをやったらどうなるんだろう、を知らないんですよね。いま興味持っちゃう可能性もあるし、心配は尽きません。


 先日、運動会の振り替え休日と私の定期検診(貧血の治療)が重なってしまい、お留守番させたんですけど、待っている間、そういうことばっかり考えちゃって。ちょっと前に女子高生のアルバイトが冷凍食品を袋のまま業務用レンジでチンする、という衝撃的な再現VTRも見ちゃったばかりで。ああ、そういうことも教えないとな、と。


 思いのほか時間がかかりまして、薬なんて後だ! とチャリをぶっ飛ばし急いで帰宅しましたら、息子は大人しくおやつ食べてましたね。時刻は10時20分。こいつ、おやつの時間(午前中は10時)もきっちり守るタイプなのかよ……と驚愕しました。


 うおっ、気付いたらあと10話で600話!?

 ヤバイヤバイ。何も考えてない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る