第515話 私だけじゃないはずだ

 昨日のね、強壮剤のくだりで思い出したやつなんですけども。


 新聞の広告に載ってるじゃないですか、何かこう……元気になる的なサプリメントがね。男の自信を取り戻す、とか、活力がみなぎる、とか、何かそんな威勢のいいキャッチコピーと共にね、愛用者の写真とか、声なんかが載ってたりしてね。


 小さい頃、っていうか、まぁ普通に新聞を読める年齢になりますと、やはり目に留まるわけです。あの痔の広告なんかもね。ヒサヤ大黒堂でしたっけ、「えっ、そんなに?」ってびっくりするくらいの量をチューブから出して指に乗せている写真だったのを覚えています。

 普通、チューブのものをあそこまで出すことなんてないですよ。歯磨き粉かよ、って。いや、歯磨き粉にしてもですよ? CMとかで見て、「成る程、これくらい出すのか」って真に受けたら口内が泡だらけでどえらい目に遭いましたし、そもそも私辛いの苦手ですしね? それでもミント系はある程度イケる口なんですけど、そのある程度を軽く超えてくる清涼感でしたから。だからまぁ歯磨き粉のCMはそろそろJAROに怒られれば良いのにと思うわけなんですが、痔の薬に関してはね? これはもう無知なやつですから。その広告を見ていたティーンの頃はもちろん、いまも病院の厄介になったこともありませんし、そういや家族にも痔持ちはいなかったように思います。だから、もしかしたら一回量があれくらいかもしれませんからね。こちらとしては確かめようがないです。予防目的で健康な尻に塗るもんでもないでしょうし。


 そうそう、話がそれましたが、その元気になるサプリなんですよ。

 だいたい愛飲しているのが年配の男性でしたからね、大好きなおじいちゃんが小6の頃に亡くなってしまった私はですね、思ったわけです。


「こういうの、お年玉で買えば良かった」と。


 お小遣いは中学2年生になるまでもらえない家でしたので(なぜ1年生からじゃないのか)、自由に使えるお金といえばお年玉とかそんなもんなんです。それもお母さん銀行の餌食でしたが。心を痛めましたよね。こういうのを毎日飲んでいれば、おじいちゃんはいまも元気だったかもしれない、なんて。


 いま考えたら、そういうことじゃないんだよ、ってものだったんですけど。いや、そっちの効果だけじゃないのかな? 結局、滋養強壮的なアレでオッケーな感じなのかもしれないですけど。


 結構大きくなってから、というか、割としっかり良い大人になってから、というか、確か旦那(当時は恋人)に教えてもらった気がするんですよ。


「これはそういう『元気』のことじゃない」と。

 

 主に下半身に効くやつだよ、と。

 男性としての~って、そういう意味だよ、と。


 そういう意味なの?!

 

 もうね、目から鱗でしたよね。

 いや、ソコが元気になるってことは、全身の活力云々に繋がるんだと思いますしね? 女性の愛飲者もいた気がしますしね? 絶対にそれだけの目的じゃないとは思うんですけども。


 絶対これ勘違いするでしょうよ。子どもは確実に勘違いするでしょうよ。

 ちょっとしんどいなーって動きが緩慢な時、ウチの子ども達も、私に『リョウシンJV錠(膝腰肩の痛みに飲むやつ、中高年にオススメらしい)』勧めてきますからね? CMで見て知ってるんですよ、そういうの。


「ママ、つかれてるの? 『リョーシンジェーブイジョー』飲みな?」って。


 気持ちだけ受け取りますわ、ほんと。


 とりあえず、子ども達が録画している番組のCMに『マカ元気』みたいなやつが流れないことを祈ります。

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