第459話 秒でね
先日からですね、私もとうとう始めたんですよ。
某アプリね。
フリマアプリね。
ほら、先日までマスクをもりもり作ってましたんでね、ハンドメイド熱が冷めやらんのです。ですが作るばかりでは溢れてしまうわけで。昔実家にいた頃はよく幼稚園とかでバザーがあったりして、そこで家庭のいらないものなんかを売ったり出来たんですけど、こっちではそういうのがないんですよ。
年に一度くらいかな、秋田市の方で大規模なフリーマーケットがあったりするんですけど、アレはなんていうんですかね、全然規模は違うんですけど、(たぶん)コミケみたいな感じでね、応募して、場所をとって――みたいなやつなんですよ。さすがにそこまでの規模だとちょっと尻込みしてしまうんで、ほんと地元の幼稚園で開催するレベルのバザー的なのがベストなんですけどね。ないんですよ。
まぁ、あったとしたって、いまこのご時勢では無理でしょうけども。
というわけで、いっちょ作ったものを出品してみようかしら、と思った次第でして。量産タイプじゃない、ちょっと凝ったマスクとかも作ってみたりして。
ただ、あれですよ。
生き馬の目を抜くハンドメイド業界にこんな新参者がひょこっと現れたところで、すぱーんと売れるわけがないのです。
ただ、出品した作品ページをクリックしていただけると、閲覧数がカウントされるわけです。わかりますよね、つまりPVです。さらに、イイネのシステムがあるわけです。ハートです。そうです、応援ボタンですよ。さらにはコメントもあるのです。これはもうある意味カクヨムです。
なので、これ確実にカクヨムの影響だと思うんですけど、なんかもう売れてないのにPVが増えるだけでちょっとニヤついちゃう私です。
出品の仕方も慣れてきましたんでね、そのうち家にある未使用の不用品なんかも出してみようかしらと計画中です。
そんなある日のことです。
マスク工場がバリバリ稼働していた頃ですね、生地が足りなくなりそうで柄付きのWガーゼの5mパックを購入したんです。福袋的な感じで柄が選べないやつで。そしたらほら、「ウチの周りはそろそろ行き渡ったので、もう良いかな」という感じになったものですから、工場は閉鎖したわけです。私も正直同じものばかり作るのに飽きてきた頃でしたからね、助かりました。
で、そうなるとそんなにガーゼばかりあっても仕方がないわけですよ。ガーゼなんてマスク作るかスタイ作るかしかないんですから。
よし、これも売ってしまえ、と。
5mパックでこの値段だったからー、1mだとこれくらいかな? 送料はこっちで持つとしてー、そんじゃこれくらいでしょ、って値段で出品したんですね。どうやら割と安かったらしいことが後から発覚したんですが、だって知りませんよ相場なんて。送料と手数料引いた額がいつものメーター切り売り価格と同じくらいになるようにしたつもりだったんですけど。
そしたらですね、出品ボタンを押してほんと10秒後くらいにスマホが震えたんですよ。あれ、何かエラーかな? って思ったら。
売 れ ま し た 。
えっ、いままで私が出品したやつなんてひとつ売るのに1週間くらいかかったんですけど?
素材、すげえなおい。
2枚出したんですよ。
どっちも花柄で。
ちょっと私が使うには可愛すぎるかなぁって感じの花柄だったんですけどね、2枚とも秒ですよ。何、皆さんそんなに花柄ガーゼ探してたの?! 出品されたら誰よりも早く買ってやるぜ! ってスタンバイしてたの?! だとしたらごめんなさいね、もっと早くに売れば良かったね。
もうね、一体何が起こったのかと思いましたよね、ほんと。
私のスマホ震えっぱなしなのよ。
売れた後もコメント来るんですよ。
もう花柄のガーゼはありませんか、って。
ありません。
当方、布業者ではございませんので! 申し訳ない!!
そんなこんなで最近はちっとも売れないハンドメイド作家として、ひっそりとデビューしていた私なのでした。
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