令和2年3月
第376話 世紀末かよ
趣味は人間観察です! と言い切るほどではないんですけど、やっぱりまぁまぁ見てしまいますよね。観察してしまいますよ。どんなところにネタが転がってるかなんてわかりませんからね。今日会ったとんでもない嫌な人が、明日には美味しい悪役として大活躍してくれたりとかするのがこの世界ですからね(キリッ
なんて決め顔で宣言しましたけど、美味しい悪役なんていたか、宇部作品に……?
とまぁ、そんなこんなで美味しい悪役に化けるかどうかはわからないんですけど、こう、お買い物をしに行ったりするとですね、ついつい他のお客さんをじろじろ見てしまうという、なんとも感じの悪い強盗コーディネートの私です。
ほら、最近はあれじゃないですか。
マスクとか除菌系が品薄、っていう。
近所のホームセンターはですね、数週間に1回くらいちょこーっとマスクが入荷したりするんですよ。といっても本当に少しなので、あ、入荷してるー、って横目で見て、店内をぐるっと回ってくるともうなかったりするわけなんですけど。
私? 私は買いません。まだストックはありますし、まだ東北にコロナさんが来ていないっぽい(これを書いている当時は)ので、とりあえずギリギリまでは手作りマスクでしのぐ所存なものですから。
で、まとめ買いでちょっとお得になる洗濯洗剤なんかをかごに入れてですね、レジに並んだわけですね。私の前には夫婦と思しきちょっと年配の男女が2人、それぞれ別のカゴにマスクを1箱ずつ入れているわけです。ええ、マスクコーナーにはですね『マスクはお一家族様一個限りとさせていただきます』みたいなポスターがばばーんと貼られているわけです。だからもし、この男女が本当に夫婦なのだとしたら、これはアウトなわけです。ていうかたぶん夫婦です。もう距離感が完全に
いや、でもただ単に知り合いというだけな可能性もあるわけです。めちゃくちゃ仲良さそうにしゃべってますけど。どうするの、店員さん、どうジャッジするの?!
何でか私の方がドキドキでですね、そのお客さんがお会計されているのを見ていたわけなんですけども。
店員さん「お客様、ポイントカードはお持ちですか?」
女性客「えーっと、あったかなぁ……。ねぇ、カードある?(後ろにいる男性に向かって)」
男性客「俺持ってねぇな」
設 定 の 破 綻 !
ちょっと、そこはもう完全に他人の振りしとかないと!! マスクひと箱ずつ買うんだったらそこは心を鬼にしないと!
思わず店員さんを見ましたよね。
こ、この人達、絶対に夫婦です。別世帯じゃありません! どうします!? どうするんですか?! と。
そしたらその店員さん、明らかに「自分は何も見ていませんし、聞いていません」とでもいうように、明後日の方向を向いてましたね。その対応がアウトなのかセーフなのかわかりませんけども。
もうね、お客さんの方でもなりふり構ってられなくなってきましたね。昔はほら、玉子おひとり様一パックって言われたら家族総出で挑む、みたいなのとかありましたけど、今回のマスクはもうあれですから、何かもう生きるか死ぬかみたいなレベルになってきてますから。なってきてるの?
とまぁそんなこんなでお会計を済ませてさーて帰りましょ、とサービスカウンターの前を通ったらですね、今度はおじいちゃんですよ。もう元気いっぱいなシニアがですね、店長さんかな、それらしき人に向かって何かもう怒鳴りつけてるんですよ。
「何でマスクがないんだ!」
「マスクを用意するのはお前らの義務だろう!」
ってね。
うっそ、ホームセンターってマスクを用意するのが義務だったの!?
いや、まだ病院の売店とか薬局とかドラッグストアならわかりますよ? だけどここ、ホームセンターですよ?
義務なわけねぇだろ、ジジイ! と心の中で叫びましたとも。
そしたらその店長っぽい店員さんもいい加減鬱陶しくなったのか、
「申し訳ございません、それは義務ではございません! 入荷のめども立っておりません!」
って言い切ってましたね。
そりゃそうよ。
全然まだコロナさんがやって来ていないのにこの有様ですよ。
時はまさに世紀末!
今日から3月なのに、こんな話で始まっちゃいましたわ。
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