第325話 無知は身を滅ぼす

 とんでもないタイトルにしちゃいましたけど。


 いや、ほら、これくらい極端な方が、読者様は「えっ、なになに?」って食いついてくれるものだと小耳に挟みましたんでね。ほら、私もいつまでも13円(1/4現在ロイヤルティプログラムで私が純粋に稼いだ額)作家名乗るわけにいかないもんですから、もう露骨にPV狙ってやろうってね。貪欲に。貪欲にね。まぁほぼほぼ嘘です。13円作家の件を書きたかっただけです。


 そんなことより、このタイトルにまつわるお話なんですよ。だいたいタイトル詐欺みたいな話を書いている私ですけど、書いてる段階では、決して皆さんを騙してやろうとかそんなつもりではないんでね、一応それだけは声を大にしてアピっときます。


 昨日入浴剤のお話を書いてて思い出したやつなんですけど、いま住んでる家のお風呂がですね、自動で湯はりしてくれるやつなんです。自動っていっても、ボタンはもちろん押さなくちゃいけませんし、栓もしなくちゃいけないんですけどね。賃貸アパートでもこういうタイプのやつって最近ちょいちょい出て来てるじゃないですか。っていっても、ファミリー向けの広めのお部屋だけかもしれないんですけど。


 私、このタイプのお風呂って、旦那(当時は彼氏だけど面倒なので旦那表記にします)と同棲して初めて体験したんですよ。それまではもう普通に蛇口からだーっと出して溜める感じで。

 だから、初めて湯はりしてもらった時はもう感動ですよね。すげぇ、ドラえもんの世界みたい! って。来てんじゃん、未来! って。


 で、その年の冬なんですけど、めちゃくちゃ冷えた日があってですね。新人の歓迎会だか何かがあって、遅い時間に帰宅したんですが、なんと、お湯が出ないのです。


 察しの良い方はもうお気づきになってるんじゃないかと思うんですけど、あれですよ、凍結したんですよ。


 キッチンの蛇口からも出ませんし、湯はりボタンを押してもエラーなわけです。


 さて困ったぞと。

 翌日、私は休みなんですけど、旦那は仕事なんです。私も私で、当時はしっかりお化粧してましたから、一刻も早く落としたいわけです。それでも化粧はまぁ何とか水で落としたのか、それとも拭くだけコットン的なやつがあったのか、その辺は覚えてませんけど。


 どうするどうするとうんうん考えて、まぁ、単純に「お湯をかけて融かせば良いんじゃない?」っていう愚かな考えに至ったわけですよね。氷はお湯をぶっかければ融けるなんて子どもでもわかるやつですからね、ええ。


 沸かしましたよね、お湯を。やかんいっぱいに。私がね。

 そんでその沸いたお湯をお風呂場に持っていきましたよね、旦那が。


 私には待機命令が出ておりましたので居間で大人しく待っておりますと、聞こえてくるわけです。何かこう、がしゃん、的な音と――、


 旦那の「あっちぃ!!」みたいな絶叫がね。


 まぁ、ざっくりいうと、やけどしたわけです。足を。

 何せ本気の温度でしたから。よくよく考えたら融かすってだけなら別にそこまで本気で沸騰させなくても良かったんじゃないかと思うんですけど。ていうか、そもそも熱湯をかけてはいけません。


 で、とりあえず応急処置をして、翌日私が業者さんに電話をすることになりました。翌朝、旦那は仕事に行き、私は業者さんに電話をかけて――いるタイミングで、お湯復活。どうやら日中の温かさで融けた模様。で、電話口でお湯が出た旨をお伝えしてですね、その時にその業者さんから言われたのが、


「昨夜のような最低気温がマイナスになるような日は、浴槽の中に水を溜めておいてください。自動で循環するので、凍結を防止出来ます」


 という。

 自動湯はり機能付きのお風呂は、そのお湯が出てくる部分――なんていう名前なのか知りませんけど――がすっぽり隠れるくらいまで水を張っておくというのが、実は常識だったようでして。たぶん入居時にもらった取説には書いてあったんでしょうけど、もちろん私が読むわけもないですから。


 というわけでね、無知が招いた悲劇ですよ。

 旦那の身がね、滅びた(やけどした)わけです。


 ちなみに、それから約10年。

 やけどの痕はかなり薄くなりました。


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