第318話 バスターミナルに着陸する
そういえば北海道からこの東北の地に降り立った時のことです。
今回はもう完全に偏見とかね、私がいかにお馬鹿さんかって内容になっているものですから、なるべく生暖かい目で読んでいただけたらなって思います。
私だけかもしれませんし、私の周囲の人がそうだってだけかもしれないんですけど、もうこのエッセイではズバッと言い切っちゃいますが、北海道の人は北海道が大好きです。普通そうだろって? だいたいの人は故郷が好きだろって? いや、そうなんですけど、北海道民の北海道好きって、沖縄県民の沖縄好きと匹敵すると思うんですよね。もうとにかく北海道が好き。出来ることなら出たくない。旅行以外で津軽海峡を越えたくない。少なくとも私はそうでした。
もし私がめっちゃくちゃ頭が良くて東大に入れるとしても、東大じゃなくて北大(北海道大学)に入りたい。だって北海道って何でもあるんですもん。とりあえず札幌に行けばディズニーランドとUSJ以外はあるんですもん。富士山はないけど羊蹄山あるし。
だから、っていうのか、とにかく内地のことを全く知らないわけです。ぎりぎり東北のことはわかります。青森と秋田と岩手と新潟でしょ、みたいな。ええ、山形と宮城と福島と新潟県民を敵に回しましたね。でもね、本当にわからないんです。栃木とか茨城の位置もわからないし、近畿地方に何県があるのかとかもわからない。仙台・横浜・鎌倉・金沢・博多が何県なのかもわからない。京浜工業地帯とか中京工業地帯とか、そういうのはわかっても、それはあくまでも『ケイヒンコウギョウチタイ』と『チュウキョウコウゴウチタイ』って言葉というか。
そんな私が「お前来月から秋田な」って言われたわけです。戸惑う戸惑う。まずどこよ、秋田県。そこからスタート。成る程、この研修室に日本地図が貼られてるのってそういう理由だったのね。ていうか全然見つからんのだけど、どこよ秋田、っていう。
そんで、ドキドキしながら飛行機で越えたわけです、津軽海峡を。
さらば北海道。私の愛したふるさと。
で、1時間もしないうちにですね、見えてくるわけです。おお、ここが秋田県か、と。これからどうぞよろしく秋田県。
……あれ?
あれれれ?
あれれ、と思うわけです。
ちょっと待って。ちょっと待って、と。
いやいや、何かこの飛行機、あの建物の方に降りていくんだけど、って。
いや、どう見てもですね、私の目にはバスターミナルにしか見えないんですよ。それが秋田空港だったんですよ。ごめんな秋田空港。決して馬鹿にしてるわけじゃないんだ。私が馬鹿なんだ。
何せ私、知ってる空港なんて千歳空港か、羽田空港か、中部国際空港なんですよ。どいつもこいつもでっけえやつばかりだったんですよ。だから空港ってどこもあれくらいの規模だと思ってたんですよ。
それがあなた!
え? え? マジでここ? ドッキリとかじゃなくて?! って。
ただ、その数年後、
「いやぁ空港ってこれくらいがちょうど良いなぁ」になるわけなんですが。
たまに千歳行きますけどね、もう駄目ね。田舎のおばちゃんには辛い。わちゃわちゃ騒ぐ子ども2人連れて荷物抱えてうろうろするところじゃないわ、あれ。いっそ休みの日に遊びに行くところだわ、マジで。
住めば都って言いますけどね、もう早い段階で都になりましたわ。もう都会に魅力を感じなくなってる。おばちゃんにはめっちゃちょうど良いです、秋田。
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