第292話 鰯の頭も……

 何かそういうやつあるじゃないですか。

 鰯の頭も信心から、でしたっけ。


 鰯の頭みたいなやつでも信じる気持ちがあれば――とかそんな感じのやつですよね。

 いやもう、信じる気持ちってすごく大事じゃないですか。プラシーボ効果とかもね、ありますし。もちろん私は完璧に引っ掛かるタイプですからね。


 

 いや、実はですね。私、もともとあまり丈夫に出来ておらず、仕事が終わって帰宅するともう歩けないくらいに具合が悪くなる時があるわけです。

 貧血かなってことで、それで鉄分のサプリとか飲み始めたわけですけど。これがやれ人間ドックだ健康診断だって受けても、ちぃーとも引っ掛からないのです。貧血もそこまで引っ掛からない。そんなに具合悪くなるなら結構重度な気がするんですけど、精密検査レベルにならないといいますか。

 お酒もタバコもやらないんですねー、良いですねー、あっ、血圧低めですねー、良いですねー、うーんちょっと貧血が気になるかなー、倒れたりしたら病院行ってくださいねー、ハイ次の人ー。


 倒れてから病院行くの、私!?

 

 まぁ、先生曰く、いまのところはまだ様子見の段階のようでして、倒れるくらい具合が悪くなったら来てね、ってことらしいんですけど、そんな状態で果たして病院に行けるでしょうか(徒歩)。


 とまぁ、それは置いといてですね。


 とりあえず、鉄分のサプリを摂るようになってからは、これ飲んでるから、っていう安心感なんかもプラスされてるんだと思いますけど、そこそこ調子が良かったりするわけです。だけど、それを摂る前、つまり「これって貧血なんじゃない?」って気付く前までは結構試行錯誤だったんですよ。仕事終わりってだいたい空腹ですから、お腹が空きすぎて具合悪いのかな? って思ったりして、お菓子をちょいちょいつまんだりするわけですけど、効く時もあれば大して効かない時もあるわけです。


 しかし、高確率で効くやつがあるんですよ。



 チーズです。

 しかもあれね、6Pチーズ。別に雪印とまでは指定しませんけど、でもまぁ、うん、出来ればね、雪印のが食べたい、私は。道民はみんな大好きです、雪印(たぶん)。昔に色々やらかしてますけど、それでもやっぱり雪印なんですよ。もう名前が良いよね、潔くて。雪っておい。そんなことはどうでも良いんですけど。


 とにかくまぁ私の場合チーズ食べときゃ良い、みたいなところがあるわけです。

 で、後に「貧血じゃねぇの?」って結論に至ったわけなんですけれども、じゃあチーズは貧血に効くのかって話になるじゃないですか。


 そしたらですね、まぁたんぱく質ということで、ヘモグロビンの構成要素ではあるらしいんですけど、特効薬というわけではないんですよ。

 だから何であんなに効いていたのかさっぱりなわけです。


 たぶんね、親から言われてきたんでしょうね、「チーズ食っとけ、チーズ!」って。そういや、何かあれば「牛乳飲んどけ」って言われましたもん。それの亜種でしょうね。


 ただまぁ、効くと思って食べて本当に効いてたので、結果オーライってやつです。

 もしかしたらいま飲んでるサプリもまるで効果がないかもしれませんが、信じることが重要ですから、こういうのは、ええ。


 あ、養命酒はまだ飲んでますよ。

 一度風邪っぽい時があってお休みしていたので、まだまだ飲み切れてはおりませんが、ちゃんと飲んでます。


 いまのところ、何の変化もありません。

 ただ、飲む時に、


「私、一杯ひっかけてから寝るわね」


 って言えるのがちょっと大人っぽくて恰好良いなぁって思ってます。

 それから、職場でも堂々と


「あっ、私最近晩酌してるんで」


 って言えるというメリットがあります。

 メリットでも何でもないわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る