第254話 何その二択

 10月の終わりは可愛い可愛いウチの子ども達のお話で〆ようかなと思うんですよ。


 我が家の『無限可愛い量産機』こと娘ちゃんが、またどこからか可愛いものを仕入れてきまして。保育園なのか、オバーバの家(旦那実家)で見た幼児番組なのかわかりませんけど。


 何か、バスの歌なんですよ。歌っていうか、手遊びっていうか、そういう身振り手振りがつくやつ。


 宇部家のお風呂なんですけど、以前家族全員で入ってると書いたんですが、一斉に入るわけではないんですね。


①私が入って自分を洗い、湯船で待つ

②残りの3名が入ってくる

③旦那が子ども達を洗う

④子ども達が湯船に入る

⑤旦那が自分を洗う

⑥私が上がって着替えを済ませ、バスタオルを持って子ども達が上がるのを待つ


 という流れになっておりまして。


 その『バスの歌』は⑥の時に初披露していたらしいんですよ。何か盛り上がってるなぁなんて思いながらパジャマに着替えていたわけです。


 で、その日の夕食後ですよ。


「さっきのバスのやつ、ママにも見せてあげたら?」

 

 と旦那が子ども達に言うわけです。

 大人の感覚ですと、ご飯もお風呂も終わったらあとはもうゆっくりしたい感じですけど、子どもはそんなことないわけです。たぶんいまここにトランポリンとかあったらためらいなく飛び込むはずです。


「わかったー! ほら、にいにも早く!」

「わかったよぅ~」


 ノリノリの娘と、お絵描き途中のためちょっと渋々の息子。

 床に足を投げ出して座ります。娘の後ろに息子。娘は両手をぐーにして、おそらくハンドルを持っている振り。息子は娘の肩の上に手を乗せています。

 成る程、娘は運転手。息子は乗客ね。


 世界一可愛いバスがいまここに誕生しました。乗客は一人です。それタクシーじゃなくて?


 渋々だった息子もだんだん楽しくなってきたようでにやにやしています。まだ始まってもいないのに。


 さぁ発車です。


 ♪バッスに乗ぉってるっか、寝ってる

 ♪ゴーゴー!(拳を振り上げて)


 ――何て?


 ♪バッスに乗ぉってるっか、寝ってる

 ♪ゴーゴー!(拳を振り上げて)


 ――いや、だから何て?


 ♪そっろそろ〇▲※◇◎■どこか目的地に着っきます~

 ♪さんっ、にーいっ、いぃーちっ!(2人で声をそろえて)

 (左右に揺れたりしてキャーキャー騒ぐ)


 ♪バッスに乗ぉってるっか、寝ってる

 ♪ゴーゴー!(拳を振り上げて)


 ――まだ続くの!?


 とまぁそんな感じの歌でして、『〇▲※◇◎■』が自分の家だったり、学校だったり、右に曲がりますとか、そういうのがあったりするわけですよ。もうね、とにかく可愛いわけです。可愛いのは良いんですけど。


 

 バスに乗ってるか寝てる、って何。


 何この二択。


 バスに乗ってる人と、バスに乗らないで寝てる人の歌?

 だとしたら、少なくともこの2人は乗ってるわけですから、寝てる人ではないわけです。じゃあ何で出して来たのよ。


 でもまぁとにかく可愛いから良いかなって思ってたんですけど、ある日、原曲を流しながら歌いたいとかいっちょ前なこと言い出しましてね。


 YouTubeですわ。

 

 男の人の声でした。歌のお兄さんなんでしょうか。その人がね、歌うわけです。師かもね、ちゃんと歌詞がついてるわけです。


 ♪バッスに乗ぉって揺ぅられってる


 バ ス に 乗 っ て 揺 ら れ て る !


 寝てる人じゃなかった!

 揺られてるだけだった!


 娘ちゃんは園児だからまだわかるけど、息子! アンタ!! アンタもニコニコして「乗ぉってるか寝ってる♪」じゃないよ! 

 寝てないよ! 揺られてるだけ!!


 ただひたすら可愛かったんでね。

 子どもの言い間違いって可愛いもんですから。

 もうしばらくはこのままにしておこうと思った次第であります。


 そんなただ可愛いだけのお話で10月は終わり!

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