第136話 パニックのその果てに
つくづくね、思うんですよ。
私って何にもわからないんだなって。
わからないことが多すぎるなって。
何かどこかの誰かがね、『無知の知』なんてのを言ったとかそんな話があるじゃないですか。有名じゃないですか。有名な割に早速あやふやなのはご愛敬なんですけど。
その、『私は自分が何も知らないということを知っている』っていうやつね。つまり私はね、ここにたどり着いているというわけですよ。
ということは、私もその彼の隣に名前を並べても良いんじゃない? なんてね、そんなことを思ったり思わなかったり、ていうかこの台詞、学校とかで言い放ったら「それはわかったけど、大きな声で言うことでもないよ」って優しいクラスメイトに諭されそうって思ったりするわけでして。
そんな前振りで始まります今回のお話は、もうこれシリーズだろってちょっと思い始めてるやつ。そう、わからないやつ。
よくあるパターンなのかは正直自信ないんですけど、少なくとも2回はね、それくらいはそういうシーンを見たことがあるんですよ。漫画なり、アニメなりでね。っていったら、その漫画が原作のアニメを見たってだけじゃない? って突っ込まれそうですけど、いやいやさすがにそんなことはないはず。
何かね、初デートなんですよ。場所は喫茶店。ここがポイント。
まだ恋人未満の状態とか、もしかしたらお付き合い直後かもしれないし、何ならただ単に憧れの先輩と――ってだけかもしれないですけど。とにかく、主人公の女の子がもう緊張しまくりなわけです。
それでね、そのお相手――憧れの先輩ということで
ここからですよ、ここから。
主人公の女の子――ヒロインなのでヒロ子にしましょうか、ヒロ子は悩むのです。漫画ですからね、頭の上らへんにもやもやって思考がだだ漏れてるんです。
『何にしよう。ピザはチーズが伸びて恰好悪いし』
『ナポリタンはソースが跳ねたら大変だし……』
だいたいこの2つだった気がするんですよ。何せ喫茶店ですからね、そんなに種類がないわけです。
で、憧太先輩が「決まった?」とかイケメンスマイルで急かすもんですから、ヒロ子もパニックですよ。早く決めなきゃ! みたいな。ウェイトレスさんも待ってますからね。伝票構えて待機してますから。真のイケメンは「決まったら呼びます」って言うもんだと思うんですけどね。それがデート相手にもウェイトレスさんにも優しい対応なんじゃないかと思うんですが、なぜかその場に待機させてるんですよ。これね、お話の中だからウェイトレスさんにこにこしてますけど、リアルの場合「ちっ、この浮かれたカップルどもが」とか考えてますからね、絶対。
そんなこんなでヒロ子が導き出すのが、なぜか――、
「親子丼ありますか!?」
っていう。
ヒロ子、パニックにもほどがある。
たぶん、親子丼が彼女のホーム的なメニューなんでしょうね。ホームでの戦いに持ち込もうとしたわけですよ。が、悲しいかな、ここは喫茶店。何度も言うように喫茶店なのです。喫茶店で食べれるのって、せいぜいがピザかナポリタン、あとはデザート類じゃないですか。それなのにそのチョイス。イケメンスマイルとウェイトレススマイルのWスマイル圧によって引き起こされたパニックの結果が、親子丼ですよ。
もちろんウェイトレスさんは言うわけですよね「ありません」って。そりゃそうよ。むしろあったらびっくりだし、あったとして、どんぶり飯をかっ込む姿の方がチーズがどうこうとかソースがどうこうとかよりも恋する乙女的にどうなの? って。
気付いてあげて、ミックスサンドの存在に!!
どうしてそんなにがっつり食べようとしてんだよ! 腹ペコかよ!!
っていう、展開が謎すぎるなぁって。
あと、個人的に言わせてもらえば、ピザはあのチーズがびろーんてなるからこそ良いのであって、ナポリタンにしても、そうならないように品よく食べればむしろ好感度アップなんじゃないのかなって。
私? 私ね、まだ旦那と恋人同士の段階でも手づかみでむっしゃむしゃとフライドチキン食べてました。野性味溢れる食事風景。「ヤバい、これ軟骨だ」「出しなよ」「うん、出す」って展開もあったし。
ていうか、フライドチキンの上品な食べ方って存在するの? 教えて英国王室!
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