第119話 それどころじゃなかった
皆さん骨折したことあります?
私は、ないと思ってました。
ました、って何のことかって話なんですけど、いや、実はしたことがあったらしいんです。
なーんていう風に書くと、成る程、記憶にないくらい小さい頃の話か、って思うじゃないですか。
ところがね、大学生の時の話なんです。
私、大学生の時にどうやら足首の一部、折ってたらしいんです。
もうね、当事者なのにこの『どうやら』&『らしい』ですよ。いや、私だって半信半疑でしたからね。
それが発覚したのが、恐らくあの時折れてたんだな、っていう時から1年以上経ってから。実家に帰省した時に母親がマッサージの人を呼んでて、ついでに私も揉んでもらったんですね。
「あら? あなたここ骨折したのね~」
って足首を揉みながら言うわけですよ。
「いいえ? 折ってませんよ?」
「えっ?」
「えっ?」
「でも、ここ、変な風にくっついてるわよ? その時気付いてなかったかもしれないけど、あなたここ折ってるのよ」
「うっそ。そんなことある?」
さすがの私でも足が折れたら気付くでしょうに、って思いながらマッサージしてもらってたんですけど、そこでふと思い出したんですよ。
あれ、そういや思い当たる節があるな、って。
私が大学4年生の時のことです。当時私は姉と一緒に住んでまして。
卒業式を間近に控えた頃のことでした。
卒業間近ということは、就職も決まってますし、卒論も終わってます。授業だってほとんどないのでバイトの時間までだらだらのんびりなわけですよ。そんなわけでぐうぐう寝てました。が、姉から言われていたのです。
「今日、午前中に荷物来るから受け取ってね」
兄や姉がいる方ならわかると思うんですけど、上のきょうだいの命令は絶対ですから。本来であれば正座をして待機していなければならないやつですから。だけれども、私は愚かにもそれをせず、のんきにお布団の中にいたわけです。
と。
結構良い感じで寝ているところへ、聞こえてきたのです。チャイムの音が。
何だうるさいなぁ誰だよと寝ぼけながら思いますが、徐々に回線がつながるわけですよ。
あっ! 荷物来るって言ってた!! やばい!!
慌てて立ち上がりました。自分のこの運動神経で何をどうやったのか覚えてませんが、『目を開ける→上半身を起こす→布団をめくって立ち上がる』みたいな段階を踏まずに、一気に立ち上がったんです。目を開けた次の瞬間には立ち上がってた感じです。
と、同時に、いままでに経験したこともない激痛が足首に走ったのです。あまりの痛みになぜか吐き気まで催しましたが、それどころではないのです。たぶん急に立ち上がって足首をひねったんだと思ったのですが、そんなことより姉の荷物!
配達のお兄さんが帰ってしまわないように全力で在宅してます&いま行きますアピールをし、無事に荷物を受け取ると、緊張の糸が切れるってこんな感じなのかなぁって具合に布団に倒れてですね、また寝たんですよ。
当然足はめっちゃくちゃ痛いわけですが、何せひねっただけだと思ってますから。何だかパンパンに腫れましてブーツも履けなくなりましたけど、湿布貼って数日過ごしました。腫れと痛みが引いても、今度は正座が出来ないんですね。足首がまっすぐにならないというか。だけど、正座をしなくてはならないようなこともそうそうないのでほっといたわけですよ。
で。
「あら? あなたここ骨折したのね~」
につながるという。
ただ、もちろんその程度でどうにかなってるわけですから、ほんとにちょっとだけらしいんですけど。ちょっとだけ骨折って何だよ、って話でもありますが。
ただ、毎日牛乳飲んでたのに? って結構ショックでした。どうやら牛乳だけでは駄目らしいですね。いまでも結構ガブガブ飲んでますけど、骨粗しょう症の検査で「全然大したことないですね」みたいなデータ出ましたから。
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