第114話 それ、ウチでやってないわ
私ね、結構オープンめの特撮好き(オタクなんておこがましくて名乗れないレベルのにわか)なわけですけど、同性にしろ異性にしろ、なかなか特撮のこととか、昔のアニメとか、そういう話をこころゆくまで語り合ったことがなかったのです。
なかった。
ええ、過去形ですね。
つまり、いまはこころゆくまで語っている、ということになるわけです。相手は誰かってもちろんマイハズバンドです。
何でしょうね、マイハズバンドって言葉のしっくりこなさ。マイワイフはしっくりくるのに。ハズバンドっていう単語そのものがあまり馴染みがないっていうか。
まぁその辺は良いです。
愛妻弁当はあるのに愛夫弁当はないのかとか、そういうのも気になりますけど、一旦持ち帰らせていただいてですね。
まぁ、旦那ならば、もうどんな話もこころゆくまで出来るということでですね、そんなそんな大した内容ではないんですけど、それでも語りに語ってほくほくしていたわけです。
さて、そんなある日のこと。
「昔さ、日曜の朝に女の子向けの特撮あったじゃん?」
そう、今日のトークテーマは女子向け特撮!
どうやら『東映不思議コメディーシリーズ』っていうみたいです。それは知りませんでしたけど。
私がリアルタイムで見ていて記憶にあるのは『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』からなんですけど、そこから最後の『有言実行三姉妹シュシュトリアン』まで、毎週かかさず――は無理でしたけどね、見てたのです。
シュシュトリアンの花子ちゃんは後にカクレンジャーの鶴姫にも抜擢されてましたね。へぇ、あの子がねぇ、なんてしみじみ思ったりして。年上なんですけどね、彼女の方が。
が!
「何それ?」
――!?
「女の子向けの特撮って何?」
――!!?
「ちゅ、『ちゅうかなぱいぱい』とかさぁ、『ちゅうかないぱねま』とかさぁ! あ! 『ポワトリン』! 『美少女仮面ポワトリン』は有名よね? ね? 愛あるかぎり戦いましょう、命、燃え尽きるまで! ね? ね?」
「あー、何か聞いたことあるかなぁ。でも……」
「それ、ウチでやってないわ」
(当時の)東北――――――!!!!
てンめぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
彼はあの珠玉の名作達を見ていないのでした。レンタルDVD店でもお目にかかれないあの女子向け特撮を。置いてます? 見たことないですけど。
チャイナドレスの可愛さに目覚めさせてくれた『ちゅうかなぱいぱい』も、
あれ、急に始まったな? でもこのカラーリングのチャイナドレスは正直なしだなと思った『ちゅうかないぱねま』も、
美少女って自分で言っちゃってるけど、そこまでの美少女かなぁと首を傾げた『ポワトリン』も、
これは文句なしの美少女! と同時にエジプトって何か神秘的! と憧れた『ナイルなトトメス』も、
毎回よくわからない歌(やけに耳に残る)が突然始まる『うたう!大竜宮城』も、
予算が底をついて、子ども心にも「これはだいぶケチってるんだろうな」と丸わかりの『シュシュトリアン』も!
彼は見ていないのでした。
しかし、私が何度も主題歌を歌ったり名台詞をキメ顔でばばーんってやってるうちに何となく学んでくれましたけど。
愛ある限り戦いましょう!
私達の戦いはこれからだぜ!
……って書くとどうにも打ち切り臭がしますね。
大丈夫大丈夫、まだまだ続くつもりでいますから。
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