第71話 平成が終わる日

 平成が終わるなら、いっそもう勢いでこのエッセイも完結させたれい! なんてことを考えたりはしていません。ご安心ください。

 明日から令和になっても、クオリティはそのままでお送りしますよ!!


 やっぱりあんなお話で平成を締めるのはなぁ、と思いまして。ただ、かといって、そんな徳の高い話が出来るわけもなく。


 たぶんいつも通りの宇部ッセイで終わる感じではありますが。


 たぶんね、私だけじゃないと思うんですけどね、皆さんは何歳くらいから、『自分以外の人もちゃんと生きている』って気付きました?


 さぁーて、急におかしなことを言い出しましたよ。お巡りさん、危険人物はこちらです。じゃなくて。


 いや、幼稚園の頃、私はクラスメイト(っていうのかな)は、皆ロボットか何かだと思っていたのです。でも、その頃の私の『ロボット』とはつまり巨大ロボットだったからなぁ(既に特撮好きは始まっていた)。よくもまぁ『ロボット=巨大』とはならなかったなぁ、と思いますけど。それは良いとして。


 とにかく、私のために存在してるとかそんな感じ。『お友達』は時間になると行きのバス停に現れて、そして、帰りのバス停で降りたら、いなくなる。つまりは、他の子達にも自分と同じようにご飯を食べたりお風呂に入ったりテレビを見たり、っていう生活があると思ってなかったんです。


 それがある時、ピンと来た。


 もしかして、皆って、生きてるんじゃない? いや、生きてるっていうか、生活してるんじゃない? って。


 これはすごい発見だぞ、と。

 この世に生を受けた数ヶ月後に自分の手を発見した時以来の衝撃。いやぁもう、あれもなかなか衝撃でした。何度口の中に突っ込んだか。そしてそのせいで何度ミルクを吐いたか、ってなもんですよ。


 え? それと平成が何か関係してるのかって? してるわけないじゃないですか、私ですよ? ただふと思い出したんです。これが普通なのか否かはわからないんですけど、勇気を出して友達や旦那に聞いても「何それ?」なんですよね。


 えぇー、ちょっと皆どんだけクレバーなの?

 そんなすぐに『他者』を認知してたの?


 やっぱりここでもチンパンジー疑惑が浮上するわけです。でも、良いもん。進化したもん。二足歩行だもん。



 さて、そんな半パンジーの私、この平成が終わるというタイミングでですね、人生初の体験をしたのです。もうかれこれウン十年生きてきましたけれど、死ぬ以外にもまだまだ未体験なものってあるわけです。楽しいよね、人生。

 なぁんて仰々しく書きましたけどね、そんな大したことでもないんですよ。


 ダンプカーに乗る、という。


 いやー、びっくり。

 何がびっくりって、まず乗るまでが大変。ヨッコイショウイチじゃ厳しいくらいのヨッコイショが不可欠。あれ、着物だったらまず無理ですよ。乗るために脚立が必要。いや、着物でダンプカーってどういうシチュエーション?! 


 乗ったら乗ったでね、もうすごい揺れるの。マンホールとか、そんな段差でぐわんぐわんするの。そのたびに「あれ、このまま横転して死ぬ?」って思いましたからね。蚤の心臓かよって。おかしいなぁ、毛が生えてたはずなんだけど。脱毛したんだっけ?

 しかもね、オートマじゃないの。じゃなかったの。マニュアルなの。もう奇怪な動きすんの。おいおい、私とトークしながらそんなガチャガチャ出来るとか、ドラマーかよ。YOSHIKI? YOSHIKIなの?! いや、YOSHIKIじゃなかったわ。


 ええと、そんな感じで平成が終わります。

 何だろう、この、昨日のやつが平成最後でも差し支えなかった感は。


 とにかく、さようなら平成。

 これからは年表の端っこでゆっくりお休みください。



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