第65話 突然始まらないやつ

 クイズ番組が好きです。


 もう突然始まりましたけど、だいたいいつも突然始まりますからね。ラブストーリーも突然始まりますし、風にも突然吹かれたりしますから。突然って野郎はほんとそういうところある。


 さて、ウチは子どもの就寝時間が早くてですね、20時にはベッドインと決まっています。これは私と旦那がそのように育てられたから、というのが大きいです。小学生までは20時就寝。ただ、土曜日は例外でした。次の日お休みですし。ひょうきん族見なくちゃ。

 ヘイヘーイっ、いまのキッズ達! 昔は土曜日だって学校があったんだぜ!? 道徳と書写とかそんなんだったけどな!!


 しかし、この20時就寝、兄が保育園児だった頃、担任の先生からすこぶる評判が悪くてですね、早すぎですって言われたんですよ。

 いや、子ども達はね、「寝る時間だぞー、トイレ行きなさーい」っていうと、「はーい」ってダダダダダダってトイレに駆け込んで、「おやすみー」ってダダダダダダって階段を上って、キャッキャとはしゃぎながらベッドに入るんですよ。そんなに無理強いしてません。それに、そこからはもう自由ですから、2人で語らって21時まで起きてようが、数分で寝ようが、自由ですから。


 だけど、園の先生は言うわけです。


「21時とかにしませんか」って。


 何で!? 

 理由は、お昼寝をしないから、と。


 20時に寝て、5時半とかに起きるんです、ウチの子達。でも、昼寝をしないのはお兄ちゃんの方だけで、妹はちゃんとお昼寝するんです。だからもうこれは体質なんじゃないのかなって。良いじゃないか、早寝早起き。

 だって小学校に入学したら、ソッコー言われましたからね、早寝早起き朝ご飯って。そんなの楽勝ですよ。だっていまでも20時就寝5時半(下手したら5時)起床朝ご飯もりもりですもん。親がご飯食べないと動けないシステムなので、もう絶対朝ご飯ですよ。


 ……クイズの話どこにいったんだ、ってね。

 思いました? ちなみに私は忘れてました。びっくりですよね、書いてる側が忘れるって。会話ならわかるんですよ、別のこと話してるうちに忘れるとかね、だけどね、ちょーっと画面スクロールさせりゃ書いてますから。クイズ番組が好きですって、語る気満々で書いてますから。もうほんと馬鹿かなって。で、こんなこと書いてもう1000字くらい使ってますからね。……もうほんと馬鹿かなって。


 そう、それでクイズ番組の話なんですよ。

 いま多いですからね。子ども達を寝かした(というかベッドへゴーさせただけ)後で、旦那と見るわけです。当然早押しですよ。得意分野がそれぞれあって、旦那は一般常識とか地理歴史、私は音楽や美術と国語(文学含む)ってな具合に。そんで「やるじゃねぇか」「へへっ、お前もな」みたいな感じになるわけですけど。


 クイズ番組見てて最近よく旦那が言うのが、ハイジャックの話なんですね。あれ何で『ハイジャック』って言うか知ってます? 所説あるらしいですけど、「ハーイ、ジャック」って親し気に声をかけて油断させて襲う、っていうのがあってですね、私それを初めて旦那から聞いた時に「嘘だろおい。いくら私でも騙されないぞ」って。なりますよね? ですよね?


 でもですね、まぁ諸説あるとはいえ、事実であるわけで。


 で、ちょいちょいとその時のことを思い出してはね、言うわけですよ。


「いやぁ、あの時の松清子(仮名)ったら……」


 ここで「可愛かったなぁ」だったらね、これはもうラブストーリーが始まる展開。これは突然始まっても良い。


 けれど現実は甘くない。


「くくく……、ハトが豆鉄砲食らった顔っていうか……ぷぷぷ……」


 これですもん。


 これじゃ始まらない。ラブストーリーも突然に始まらない。これは始まらないやつ。


 まぁ、始まっても、ねぇ。

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