第55話 ネタ泉先生のお話

 ほら、息子のことばかり書いちゃうとね、このお母さん、息子ばかり溺愛して娘はほったらかしかよ、って思われたら大変ですから。


 今日はネタ泉先生(泉は最近枯れ気味)スペシャルだー! ってね。


 ウチのネタ泉先生ったら、もうとにかく「われわれが」っていうタイプの『我が我が系女子』なんです。そんなのあるの? 知らんけど。

 すーぐ「あのねぇー、わたしはねぇー!」って入ってくる。ぐいぐい入ってくる。満員電車、ドア閉まりマース、の瞬間に滑り込んでくる。次の電車乗ってよ! いいや、そいつぁ無理な相談だおっさん! あたい、これに乗りたいのよ!


 そうそう、我が我がで思い出しましたけど、『我の【】を捨てて、おかおかの【】で生きる』って言葉をね、教えてもらったんです。旦那からね。何かどっかで聞いたことがあるって。まぁ、旦那(自称『知識の7割は漫画』)のことですから、きっと漫画とかで得たやつだと思うんですが。


宇部「へぇー、良い言葉だねぇ。ちゃんと覚えておこう。ええと、我が我がの【我】を捨てて? 俺が俺がの【我】を……?」

旦那「そっちの我も捨てようか」


 しまった! ネタ泉先生の話じゃなくなってる!!

 軌道修正軌道修正。


 最近普通の女の子になってきちゃって、ただただ可愛いだけになってしまってるんです、先生。こっちとしてはもう少し面白要素があっても……ってこら! 母親!!


 やっぱり人間得意不得意があるものでして、先生は兄さんと比べるとお話がめちゃくちゃ得意なんですが、お絵描きが苦手。字の読み書きもまだ……ってこれはまだ早いかな。だけど、お風呂に貼ってるあいうえお表で兄さんが得意気に「これは『すいか』の『す』だよ、これは『ろけっと』の『ろ』だよ」とやっているとですね、やっぱりここでも割り込んでいきたい! 主張したい! 己を! 我を出していきたい! おっとここに誰かが捨てた『我』が……? 大丈夫、お前の『我』はこの私が拾ってやる! 覚悟は良いか? 私は出来てる! 行くぞ! おーうっ!

 

 って、そんなこんなでですね、ぐいぐいと割り込んでくるわけです。洗ったばかりのつるつるぴかぴかもっちもちのお肌をね、むにむにと滑り込ませてくるわけです。そしてふっくふくのまん丸ほっぺをこれでもかとむちむちさせてですね、得意気に言うわけですわ。


娘「ママ! いちごの『か』はどぉーれだっ!?」

宇部「……?(いま何言ったのこの子)」

娘「もぉ~、どぉ~うしてわからないのぉ~う?(ほっぺむちむち) い、ち、ご、の、『か』! だよぉ?(ほっぺむちむち)」

宇部「……?(ゆっくり言われてもわからん)」

 

 いちごの『か』とは何ぞや。

 もう何か哲学とかそういう話? 

 ママちょっと精神世界の奥深くに入り込んで良いかな。


 仕方ないね。とりあえず兄さんの真似がしたかったのよね。

 良いの良いの。君はまだ読めなくても良いのよ。

 君はね、そのむっちむちのもっちもちのふくふくボディがあればもうそれだけで良いの。まん丸ほっぺもちもちなの。

 

 いやもうこれなんかね、なかなかの可愛らしいエピソードだと思うんですけどね。残念なことにそれを作品に生かせない母なんですわ。情けなし。


 だけど、エッセイに書いてやったわ! わははははは!


 ただひたすら可愛いもちもちふくふくのわれが我が系女子。それが成長したネタ泉先生です。

  

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