第381話一度戻って

 とりあえず戻ると奴はいた。妖精と戯れているし見なかった事にして爺とヘスに報告だけでもしておくか。


二人のもとへ着くと淡々と状況を説明してその後謝った。俺の力ではどうしようも無いと。


「だからさ、私は何もしないし、ここを誰かに教えたりもしないよ?」


 振り返れば当然の様にそいつはいた。白爺は驚き、ヘスは見惚れている。本当にこいつは……



「分かっている。やろうと思えばどうとでも出来るお前をどうこう考えるだけ無駄だからな。こいつをくれてやるから、何処へとでも行ってくれ。話の邪魔だ」


 焼き菓子を詰め込んだ箱を投げ渡すと見惚れるような笑顔で妖精達のいる方向へ戻っていった。やっぱこいつは苦手だ。


「それでどうするんじゃ?」


 当然の質問だわな。


「当面は現状維持だ。アレが有害な場合新天地を用意する、その時は助力を頼む白爺」


「任された」

「ヘスもいいな?」


「多分大丈夫だと思うから気にし無い事にするわ。貴方はそんな顔しないで」


 どんな顔をしてるか知らないが。人様に見せれる顔じゃないらしい。これは撤退して休んだ方が良いかもしれない。


「疲れてるみたいだ。少し戻って寝るとする、話の続きは今度って事で頼む」


「そうした方が良いの、わしはアレを見ているから安心して休むが良い」



「助かる。白爺、ヘス本当にすまねぇ」


 それだけ言って逃げる様にいいや、逃げただな。寝床に倒れこむといつもなら疲れですぐ眠れるのだが今回ばかりは思考が堂々巡りを起こして中々寝付けなかった。





 目を覚ますといつもの連中がいつもの様に入り込んでいた。本当にこいつ等は……。


 モコモコした連中を起こさない様に抜け出し外へ出る。


「おはよう」


「人の後ろに気配も無く立つな。嫌がらせか?」


「挨拶は大事だよ? 君も元々はそうしてたんでしょ?」


 こいつ。


「何のことやら」


「凄いね、読まれてるって理解できてるね。君の事は分かるけどさ、もう少し仲良くやろうよ」


「それは命令か?」


「その返答が答えだよねそれ? 意地悪だなぁ、少しづつ仲良くできるように頑張ろうかな」


 何が仲良くだ、ふざけるな。


「用事が無いなら俺は行くが問題ないな」


「そうだね~いいよ」


 手を振る姿に一瞬目を奪われるが振り払って転移符を起動する。冷静に考えるにもこいつが近くにいる

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