第360話謎のオッサン
おかしい、俺に対して束縛が無さすぎる。確かにこの指輪の強制力は強力であるがそれにしたって緩いそれに加えてこの護衛はあまりに好意的すぎる。
言うなれば一流のサッカー選手と高校のサッカー部員といえばいいのだろうか?キラキラした視線が俺には辛い。ここ数日こんな感じだ。
道中に出てくる魔物等を駆逐しながら村々を回りこの国の敵について聞いたり、この国の事を色々聴いて回ったが護衛に止められる事も無く、評判自体は悪くない。ここまで来ると俺の考えすぎで勘違いなのだろうかとすら思う。
この国の人間は妙に人が良い。俺も護衛も只の旅人にしか見えないはずなのにだ。そんな俺の違和感の正体を教えてくれる者が現れたのは城を出て6日目の出来事だった。
人気が無い場所に差し掛かると同時に護衛が両方倒れたのだ。鑑定で見ると睡眠、命に別状は無いようだ。死なれると目覚めが悪い。
そして行く先を塞ぐ様に立ちはだかる男、俺はそれを見た瞬間銃を取り出し、体に目掛けて撃ち込んだ。何故かって?出会えばほぼ厄介事が確定している黒髪黒目。睡眠の作用するナニカが分からないのと、俺は耐性があるから、寝てないだけで護衛と同じナニカを受けた可能性は高い。
「いきなり銃で撃つとか、あんまりじゃないだろうか」
相手は何処からともなく大盾を取り出した。しかも見覚えのあるデザインの物を、現代で警察が持ってる事があるあの盾である。それならそれでいくらでもやりようがある。火力が高い物に変えれば良いだけである。
「いやいや、待て待て。冷静に盾を突き破る火力を準備しないで今代の勇者怖すぎ。お願いだから少し話しをさせてよ」
「先に攻撃行動を取ったのはそちらだ。迎撃されるのは当然あろう?」
「まぁそうだけど、非殺傷だし君と落ち着いて話をする為だったんだけど。一番危ないのは君自身だったなんてびっくりだよ。召喚されてまだそう経って無いのに・・・あれ? おかしいな」
一人でなんか悩み出した。隙だらけだし脳天にここはひとつ。
「いや、何ヘッドショット狙ってるの?君今代の勇者だよね?狂戦士じゃないよね?」
慌てて頭を盾で隠すオッサン騒がしい奴だ。
「で?なんの用だ? 異界人なんて面倒になるのは見えてる、くだらない話なら・・・」
「分かったから、銃を下ろして、まずは君の今着けてる支配の指輪を外してあげるから」
「これか? 外せば良いのだな」
「それは、着けたら持ち主か僕くらいしか・・・」
目の前で外して見せる。
「あれ?ミューちゃんどう言う事?」
するとオッサンのポケットから小さな精霊が出てきて返事をする。最近は良く見るな、精霊ってそんなに簡単に出会えるものなのか?
「あの男のは偽物なのだ」
「それで、こちらが本物になりますと」俺は本物を取り出し、見せ付ける。
「え?どう言う事」
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