どこへゆくのでしょうか

その手は冷え切っているから

あなたが春なのか冬なのか

わからなくなってしまいます


つくしにふきのとは

いつもの場所にいません


あなたの背中をさがして

遠まわりして歩いていたら

風花が散り、春と冬が

木に吊されて代り番こ


どうにもお加減が優れないようですよ、と

白梅の老木と垣根の椿が囁きあって世間話し


畑に取り残されたいっぽんの大根は

あれが雪なのですね、あれが冬ですね、と

はしゃぐうちにあの老婆に引き抜かれて

今晩にはきっと腹のなかでしょう


いいえ、いまは春です

そしてあれが人間ですよと

人差し指で笑うなら


そんなわたしはなんなのでしょう


あなたの背中は

未だにみえやしません

だからもうきっと

桜も咲きやしません


とおくで誰かが

春を歌っていますけれど

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