42.礼拝堂の決戦
宗谷は
途中迫る
(……弱点。三箇所の心臓。か……全て潰さないといけないタイプ。厄介だな)
宗谷は舌打ちしつつ、魔術による攻撃を行う準備をした。
「魔力よ。魔弾となり敵を討て。
レベッカから借り受けた
それに対し、
その隙を狙い、宗谷は本命の
「いいのか? 僕ばかりに意識を向けて」
魔術と刺撃による二段攻撃、そして宗谷に対する反撃に意識を裂かれた
「……命中したッ!」
(トーマスくん、いい援護だ)
叫ぶトーマスを、宗谷は心の中で讃え、次の一手である魔術の詠唱に入る。もう片手には、かつて盗賊から奪ったダガーを構えた。
「魔力は万有引力を制す。
宗谷は二つの
一方、心臓に矢が突き刺さった
【生者ノ血ヲ喰ライ我ガ生命ニ。『
先に
宗谷の重力制御により地に這いつくばる、
(
こちらに飛んでこなかったのは、レベッカの
だが、
(レベッカくんには申し訳ないが、杖は返せないな。弁償は、僕達に
宗谷の考えた、心臓を三つ同時に潰す方法。
だが、発動まで溜めの時間がかかり、一騎打ちにおいて使い勝手が良いと言える魔術とはいえなかった。
通常、一分の魔力装填が必要とされている。まともに直撃させようと思えば、何らかの手立てがいるだろう。宗谷は
「――揺蕩う魔力よ。集積せよ。やがて
宗谷が詠唱を終えると、魔石が輝き始め、魔力が集中し輝き始めた。
「――さて。どういう狙いか、わかるかね?」
宗谷は
「――小さき地の精霊よ、石礫を巻き上げろ! 『
メリルゥが、
「ちくしょう……止められない。無力だな! トーマス、ソーヤに近づけるのを遅らせろ!」
「メリルゥさん、わかってる!」
メリルゥとトーマスは牽制射撃を繰り返すが、
既に矢の射線からは心臓部分は外されていて、心臓以外の攻撃を一切無視する構えだった。そして、宗谷に向けて距離を詰め、至近距離で暗黒魔術の詠唱を始めた。
【死ヲ齎ス黒ノ刃ヨ、抗ウ愚者ヲ討テ。『
巨大な黒い刃が具現化し、宗谷の身体めがけて投擲された。直撃したら即死もあり得るこの刃の直撃をかろうじて避けたが、刃が首筋を掠めた。
(――喰らってしまったか)
瞬時に宗谷の肌の色が紫がかっていく。放置すれば一分も経たずで死に至る致死毒が、宗谷の体内に入り込んだ。
「まだです! ――
膝を着く宗谷に対しミアの解毒の神聖術が、宗谷を淡い光で包む。だが、毒の深度が深すぎるのか、効果の軽減に留まり完全な解毒を果たせない。
「……まだ回復が完全に出来てない……倒れる訳には……ソウヤさん」
毒が回り動きが鈍くなった宗谷に対し、
【オシカッタナ。
(……はは。一分かかると思ってるのだろう。……だが)
宗谷の特技である
「くっくっ……魔術を熟知していた事が仇となったな」
宗谷は毒で蝕む身体を何とか奮い立たせると、
「
――砕け散った魔石から、眩い巨大な閃光が放たれ、一瞬で
【死ニユク我ガ命ヲ糧ニ罰…グァッ】
「
宗谷は薄く笑うと、力を使い果たして仰向けに倒れ込んだ。
(残留した毒が全身に回っている。ミアくんは……もう立てないか……僕が生き残れるかどうかは……だが、やれる事は……)
宗谷は朦朧とした意識の中、駆け寄るメリルゥとトーマスをおぼろげに見ながら、そのまま目を閉じた。
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