襲撃

それから、僕達は、魔物の集落で過ごさせてもらった・・・そこには、本当に様々な魔族が居た・・・手が羽になっている者、足が4本ある者、喋れない者、人型では無い者・・・・本当に様々な魔族が居た・・・だが、そこに居る人達は、姿形を気にする者はおらず、それ所か自分の姿すら気にしていない様だ・・・・


皆が楽しそうに過ごしている様子を眺めながら、僕達は集落で過ごしているのでした・・・・


「・・・じゃない!!!」


・・・そう、僕達は次にどうすればいいのか解らない・・・手詰まり状態だった・・・ここに居る魔族達もこの集落以外の情報を余り持っていなかった、何でも、ほとんどの魔族はこの辺りで生まれて、他の魔族が見つけたり、うろうろしている内にこの集落に流れ着いて来る為、長距離を旅してきた魔族はほとんどいなかったのだ・・・


居たとしても、他の集落は見つけられず流れ着いて来た魔族のみで、情報も風の噂で聞いたと言う曖昧な情報しかなかった・・・・


その所為で、僕達は次にするべき事が解らず、途方に暮れていた・・・・


「一応、魔界に来たらどこかの場所にランダムで出ると言う情報は貰ったじゃねえか・・・」


「それ最悪の情報だよね!!!」


そう、手に入った情報で、僕達の世界から魔界に来ると、触れ合っている人以外はランダムで魔界のあっちこっちにあるゲートから出る事だけは解った・・・逆に言えば、他の皆が魔界に来ていても、どこにいるかさえ解らない状態なのだ・・・


「・・・・・まあ、ある程度食料を森の中で手に入れたら外に出ると言う方法もあるが・・・」


「手掛かりなしで?」


そう言うと、ルザーは口をつぐんだ・・・そうですよね・・・魔界がどれだけ大きいか解らないけど・・・この広大な大地から何も無しで探し出すの無謀ですよね!!!


これから先どうしよう・・・私は溜息をつきながら、空を見上げた・・・木々で見えずらかったが、青空がそこには広がっていた・・・・魔界と言っても、僕達の世界と余り変わらないなあ・・・そんなズレたことを考えながら、時は過ぎていった・・・


そんなある日、大柄の魔族が僕達の近くにやって来た。


「どうだ、この集落の生活にも慣れたか?」


「ええ、何とか・・・初めは戸惑いましたけど・・・」


そうなのだ・・・この人達の家なのだが、本当に、木と蔦を組み合わせただけのものなので、狭いし、隙間風は酷いし、雨が降ったら、その雨すら防げないのだ・・・ルザーがある程度手直ししてくれたから、少しはましになったのだが、こんな環境でよく生きて来れたと本気で僕は思った・・・


「・・・ほとんどの魔族が、持っている知識にかとよりがあってな・・・戦闘に使う知識はある程度持っているのだが、生活面においての知識は殆ど無い者がほとんどなのだ、かくいう俺自身ほとんど、そのような知識は持っておらん・・・」


そう、言って大柄の魔族は目を細めた・・・苦労してきたんだろう・・・その目には苦労が滲み出ていた・・・


「だから、お前達が家を手を加えてくれて本当にありがたいと思っている・・・ありがとう!」


・・・ごめんなさい、それをやったのほとんど、ルザーです・・・そんな知識僕にはありませんから・・・ただ、ルザーの隣で使う道具を渡した位しかしていないです・・・はい・・・


そんな他愛のない話をしていると、喋れない魔族の子がやって来た。この子は喋れない代わりに、魔力が高く、魔法も上手いらしく、この集落1km以上の所まで集落に近づく人々を知る事が出来る、結界を張っている。・・・・この集落に来た時、結界とか張っていたの全然気が付かなかったなあ・・・・


「・・・・どうした・・・?」


大柄の魔族が問いかける、そして、喋れない魔族の子が身振り手振りで何かを伝えようとする・・・全くもって解らん!!因みに解るのは集落の中でも一部分だけで、ほとんどの魔族はこの子が言っている事が解っていない様だった・・・大柄の魔族に人はどうやって解っているのだろうか?そんな疑問を持っていると・・・


「それは本当か!!!」


いきなり大柄の魔族が大声をあげた・・・・え?どうしたの?!


「・・・すまないが、急いで集落の魔族を集めてくれないか・・・・恐らく魔王軍の軍隊がこの集落を目指してやって来ている・・・」


その言葉を聞き、僕は耳を疑った・・・魔王軍の軍隊?何故・・・こんな森にいるのにどうして見つかった・・・?頭の中でぐるぐると情報が回っている・・・そして、


「ルジャ!!」


ルザーの声で我に返る・・・そうだこんな事をしている場合では無い・・・僕は急いで集落の魔族達の家に向かうのであった・・・


――――――----------------------------------


「はあ・・・はあ・・・」


「ヴァエ!!」


「姫様・・・大丈夫です・・・・」


ダールは舌打ちをした・・・やばい状況だと・・・そう思った・・・・


何時もの様に、魔族の集落で世話になっていた時、ジュルが飛び起きてこう言った・・・


「魔族の軍隊がこちらに向かっている・・・」


と・・・我は急ぎ、魔族にこの事を伝え、避難させた・・・ジュルが居たからこそ、遠くからでもこちらに向かっている事に気付くことが出来た、本当にそれは助かった、もし、いなければ逃がすことなど出来なかっただろう・・・なんせ、敵は2000人なのだから・・・・


だが、逃がしたのは良いが、今まで闘い所か、生活の為に体を動かす事しかしてこなかった魔族達、ただ、逃げただけではすぐに、追いつかれてしまう・・・だからこそ、我達は残ったのだが、前衛が今ヴァエ一人しかいない状況、いくら、神の力を貸しているとはいえ、入った時期も浅い為我とのシンクロ自体、ルザーより劣っている為、力不足が否めない・・・


加えて、我自身力を出そうとすれば、神の力を無意識に放出してしまう可能性がある為、それすら難しい状況だ・・・・だが、傷つきながらもヴァエの頑張りにより、前線を維持し、今互角に戦えている状況だ・・・・このままいければいいが・・・・


ふと思う・・・我達は、ジュルが居たおかげで、十数キロ先の魔族に気が付くことが出来たが、もし、これがジュルがおらず、近くに近づくまで気付かなかったら・・・恐らく、魔族全員逃がす事も出来ず、戦闘の準備すら出来なかっただろう・・・・・・・他にも集落があると聞いているが、そこは大丈夫なのだろうか・・・?


「うぉおおおおおお!!!!」


ヴァエの叫び声で我に返る・・・そうだ、こんな事を考えている場合では無い・・・急いで加勢しなければ・・・例えそれが、牽制にしかならなくとも、やらないよりはマシだ・・・


そして、ダールは闘いに身を投じていった・・・先程の憂いが、ルジャに襲い掛かっているとは知らずに・・・

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