神人
ジェニーは人間軍を見ていた・・・あれだけの数本来なら絶望的な数だろう・・・だが今はあれだけの人数が居ても、ロイドが負ける姿など想像が出来なかった・・・
「・・・・・・・精霊が神と同じ力を持っていたとはねえ・・・」
いや、違う・・・神として生まれるはずが精霊としてこの世界に定住したというのが本来正しいか・・・まあ、意味合い的には同じか・・・
ロイドと闘った時、様々な奇跡を見せられた、天候を操り、時間を操り、私達の過去すら暴いて見せた・・・何故あんな真似が出来るのか聞いてみた所・・・・
『俺、神人になってしまったらしいんです・・・』
とそう言い放った・・・神人・・・私も名前だけなら聞いた事がある・・・何時もの様に、知者の書からの知識である・・・人間の身でありながら、神の力を持つ者・・・勇者もある意味神人であるが、ロイドは桁が違う・・・まあ、ロイド自身魔族と人間のハーフだから厳密に言えば神人とは違うかもしれないが・・・・
ロイドはあの神の力を持つ精霊と本契約をしている・・・本来、世界に定着させる為にする契約をリイムは一人の人間と魔族のハーフにしてしまったのだ・・・その為、ロイドの強さは契約した時点で100倍になったらしい・・・今もその強さの上限は上がっていると言うのだから言葉も出ない・・・
私がロイドの魔力を感じなかったのは・・・ロイドが弱くなったとかではなく、魔力が桁違いになった為、私自身ロイドの魔力を感じなくなっただけである・・・
はっは・・・あの小さかったロイドが今では神にねえ・・・・それでも、本人とその本元であるリイムがそれでもうまくいかないかもしれないって・・私達はもう見てるしかないじゃないか・・・・
「あんたは、知っていたんだね・・・」
「ええ・・・真っ先に彼の力を見させてもらいましたから・・・」
後ろにはハールとファルが立っていた・・・何で城に居なくてここに居るかって・・・ロイドが死んだら恐らくもう誰も勝てないだろう・・・だったら、どこに居ても同じだとハールがそう言い放って着いてきたのだ・・・
確かにそうかもしれないが・・・相変わらず強引だねえ・・・・
「・・・勝てると思うか・・?」
「・・・解りません・・・ただ・・・信じています・・・」
「そうかい・・・」
そうして、人々が動くのを待っていると、人々が叫びだした・・・そして・・・・・
―――――――――――――――――――――――
俺が人々の群れに突っ込もうとしていると・・・向こうからも一人こちらに突っ込んできている人が見えた・・・・・
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す・・・・・・・・・・!!!!」
あれって勇者だよね・・・何か面影が無いように感じるんだが・・・・まあいい
俺は魔力で剣を作り、勇者に叩きつけた・・・これで決まったと思っていたが、勇者は空中に障壁を作り、それを足場にして反転してきた・・・まじかよ・・確かに死なない様に手加減はしたが反撃までされるとは・・・俺は全力で剣を振りぬく・・・受け止められた・・・だが・・・
次の瞬間勇者は固まった・・・いや・・固まらせたのだ・・・勇者を氷漬けにして・・・ただ氷漬けにしたわけでは無い、魔法封じの魔法陣を氷に施してある・・・・氷自体、生半可な闘気で壊れない様にしてあるので、大丈夫だろう・・・
俺は、軍勢に向きを向ける・・・戦意を失わせるだけでいい・・・俺はリイムと一体化した・・・この一体化というのは、本来の力を元に戻す行為である・・・
本来、本契約とは、本体をその契約物にするという意味で行われる・・・つまり、世界と契約をすれば世界が崩壊しない限り不死身である・・・つまり、世界と一体化することが出来るのが本契約である・・・・
世界と一体化しているから、本契約している精霊は、世界中のどこにでもいて存在していると言ってもいいものなのである・・・
それをリイムとロイドに当てはめる・・・つまりはロイドと一体化している状態がリイムの本来の姿であり、強さなのである・・・
俺は人間達の軍に流星群を放った・・・100個程・・・次々とぶっ飛ぶ兵士・・・まあ、死なない様に一人一人障壁を張っているから大丈夫だろうが・・・このインパクト戦意を奪わせるのに十分だろう・・・・
100万の兵士に障壁をかけ・・・巨大な魔法を使う・・・そんな芸当をする為にかなりの時間を費やした・・・リイムと一体化しなくても出来るが、一体化した方が魔力を操作しやすいので念の為行ったのだ・・・
(無駄だと思うけど・・・)
そう、俺と一体化したリイムが言う・・・うるせえ・・・少しでも可能性があるのなら試して何が悪い!!
そう悪態をついていると・・・人間の兵達がぶっ飛びながらも前進してきた・・・やっぱりこれで諦めねえよな・・・
俺は巨大な障壁を張った・・・自分の後ろ側に・・・人々と魔族の陣営がぶつからない様に障壁を張った・・・本来俺の前に張るべきなのだろうが・・・それじゃあ意味がない・・・もう二度と戦争を起こす様な考えにしなければならない・・・
そう思い・・・俺は蹂躙した・・・
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