第3話 幕間・執事の手記1
――執事の職務には、主人と屋敷についての事柄を日々記録するというものがございます。
ここに記すのは、私、『妖狐の執事』たる
先代の主人が召され、ちょうど四十九日が過ぎた日。
街から先代の術の名残がついに消え、高町遥様の組紐も切れてしまいました。
様々な術のなかで、最後まで残ったのがあの組紐――遥様を守る、あやかし除けの術でした。
私の業務を手助けする術などすぐに消えてしまったというのに、まったく先代らしい話です。
愛する孫を最も遠くへ置き、そのくせ最も長く、最も深く愛していたのですから。
長年お仕えしていた執事として、思うところは多々ございます。
無論、先代の意図を汲み、高町遥様を護ること。
これに関して、揺らぐことはいささかもございません。
ただ、そうですね。
先代に長年仕え、長年苦労させられ、そのくせすぐさま術を解かれた哀れな執事としましては、お孫様である高町遥様に対して、児戯に等しい程度の多少のいじわるは許される、と愚考する次第ですが――いかがでしょうか?
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