第8話 久保田くんのルーム荒らし

 久保田くんのルームには、なかなか行けなかったが、ある日の朝6時に目が覚めて、ふとスマホを見ると(誰かの配信通知がきていないか常に見る癖がついてしまっている)久保田くんの配信の通知が表示されていた。だけど2時間前、とあったので、あぁまた夜中に配信してたのかと思ったが、一応通知をタップした。


 するとまだ配信中だった。やけに長い配信してるなぁと思い、入室してから久保田くんの顔を見ると、眠そうな顔をしていた。そして「いや、宗教のことはわかりませんので」などという言葉が聞こえた。リスナーのコメントを遡り読んでみると、宗教を馬鹿にしているとか、ひどい言葉が並んでいた。


「どうしたの」


 思わずわたしはそうコメントした。


「ああ〜さっちゃんさん。いや宗教のことはわからないと言ってるんですけどね」


「宗教の話はやめた方がいいですよ」


「あっ、そうなんですね。わかりました」


 その後も、更に興奮した2〜3人の人たちが「逃げるんじゃない。ちゃんと考えろ」などと言い出し「久保田くん眠いんじゃないの?」「疲れてるよね」などとファンの人のコメントにまで荒らしは噛み付いてきた。


「眠くてもちゃんと配信することが配信者の鏡だ」

「眠そうな顔見せられても萎える」

「プロフ画像見て30代だと思ったのに騙された」

「わたしも」


 これは荒らしだと悟ったわたしは「荒らしが多すぎる。配信終わりにした方がいいですよ」とコメントした。


「じゃあそろそろ時間も過ぎてるので終わりにします」


 私は久保田くんのTwitterやInstagramもフォローしていたので、Twitterからリプライした。


「荒らしが来ててビックリしました。まともに相手をしない方がいいですね。イベントも大事だけど、ちゃんと寝てくださいね」


「ありがとうございます。さっちゃんさんのお陰で配信終わらせることができました。荒らしとかいろいろあるかもしれませんが、それも自分の経験になる、荒らしも味方にして、やっていきます。助かりました」


 別に助けたという程のことでもないし、荒らしが来て何かの役に立つとはあまり思えないのだけど。


 久保田くんは優しいけど、強さというのでもなく、自分の考えがハッキリとしているところがある。意思が強いというのだろうか。イベントの参加も遅れて参加したのに、絶対1位を獲る!自分は負けず嫌いなので、と言っていた。


 ファンが頑張らないと、1位にはならない。


 わたしは、このイベントとというものについて、いろいろと疑問に思うことも多かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る