第5章 屋根の修繕と薬草液

第15話 Fランク冒険者の日常⑮

「☆1の魔術師ファイン。本当に誰なんだろうね」

「少なくても、うちのギルドで登録した冒険者ではないですね」

 謎のトレーディングカードが1枚増えた。冒険者になってから数々の依頼をこなして、いろいろなカードを引いて集めているが、お目当てのカードは手にすることができていなかった。日々増えている冒険者に比例して、新しいトレーディングカードが増えている中で、欲しいカードをゲットできる確率はどれくらいなのか想像すらできない。唯一の救いは、人気のあるカードはギルド側にて定期的に発行していると聞いたことがあるので、希望に縋る思いでいつもカードを引いていた。


「・・・さんは、・・・しないんですか?」

 考え事をしていたため、エリエールさんの話を聞きそびれてしまった。

「Eランクへランクアップしないのかな?って思って」

「私の実力だとEランクは難しいって思っています。EランクになれたとしてもEランクを維持することが大変でFランクに戻ってしまうか、ゆっくりとした時間を過ごせなくなる気がしていて、そう考えると今のままでも良いかなって思っています。期待の冒険者ではなくてすいません」

「そんなことないです。いつも誰もやらないFランクの依頼を率先してやってくれてとても助かっていますし、依頼人からもとても感謝しているってお話を沢山聞きますよ」

「ありがとうございます。では、そろそろお暇しますね」

「はい」

 彼の後姿を最後まで目で追っている彼女がそこにいた。

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