第19話 ナナコと妖怪オロチ
「美味しかった。ごちそうさまです」
ナナコはどこまでもホワっと甘いのに不思議と後味がさっぱりとした抹茶ラテを飲み干し、ほのかに果物の爽やかさを感じたチーズケーキを堪能しました。
さきほどおきつね銀翔は少し出掛けると言って席を立ち、すぐに戻ってまいりました。
「銀翔くん?」
「ナナコに言いづらくてのう。言っておらなんだがお主には少々…。ナナコ。危ない目に会うかもしれんが大丈夫か?」
銀翔は本当に心配しておりました。
銀翔の表情は堅く曇っておりました。
「大丈夫だよ。私やる! 私はまだなにをしたら良いのかもどんなことが待ってるのかも分からないけど、私にしか出来ないなら出来ることはやってみたい」
「ナナコ」
銀翔は困り顔でした。
そなたを本当は危ない目に合わせたくはない。
けれど神獣使いの家系のナナコの力が必要だと感じていました。
「あなたと青龍くんを助けたいわ」
ナナコの決意は固く力強いのです。
そこに見たことのない人物が現れました。
「相変わらず甘ちゃんだねえ。銀翔」
日焼けした浅黒い肌にキリッとした瞳を持ち、髪は赤い色と茶色が混ざった色で短いのです。
背は高く筋肉質で野生感が溢れてワイルドさがにじみ出ていました。
スーツがさまになっています。
その人物のあとから慌てて高校生が駆け込んできました。
銀髪で襟足は少し長くてふわふわとした髪型に、瞳はダークブラウンです。
背はナナコより少し高いぐらいでしょうか。やや痩せ型で男の子ですが可愛らしい雰囲気でした。
「オロチ。なぜここに?」
「オロチ?」
ナナコはびっくりしてカフェの椅子から立ち上がりました。
(オロチって蛇の妖怪だよね。なんかこわいかも)
ナナコは目の前の迫力がある男をちらっと見ました。
妖怪オロチの方はギロリとナナコの瞳を見て、それからナナコの上から下まで値踏みするように眺めました。
「フンッ。もう神獣使いがいるじゃねえか」
オロチは薄くニンマリと笑いました。
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