自殺未遂2回目

死ぬには都合のいい日だった。

曇天。空は昼なのに夜みたいに暗くて猛烈に雨が降っている。台風の影響の風がこの世から静かに静かに消えてしまいたい私の背中をビュービュー押してくる。明日の予定は何も無いし待ってくれている人もいない。

妄想では皆んなが死ねばいいと言ってくる。駅の通り過ぎる新幹線の速さを肌で感じて、ああ、自殺防止柵が邪魔だなあと思った。しっかり枠とか柵があるから簡単に飛び込めないじゃん。

駅をぶらぶらしていると高い高層ビルがあって屋上は駐輪場で無防備だった。ここからなら簡単に飛べるかな。柵を乗り越えてしばしボーっと下を眺めた。いいね、ここ。雨は降り止まないが私は傘を持たずずぶ濡れではたから見たら完全に不審者だろう。

死ぬ前って今までのことが走馬灯のようによぎるというが今日はまだそんな気はしない。まだその時じゃない。命に期限があるなら、私のろうそくはまだ燃え尽きていない。思い出した、明日またやる事があった。生きてなきゃできない事。それに駅の人たちだって飛び降りたぐちゃぐちゃの死体なんて見たくないだろうし。死体処理には迷惑かかるしね。

今日はやめだ。また今度にしよう。ずぶ濡れで帰って寝た。静かに綺麗に居なくなりたい。

今となっては思い出だが、当時は本気で自殺を考えていた。何も持たなくて病気が酷かったころのはなし。

死に方を探していた。飛び降り、電車へ飛び込み、睡眠薬の大量摂取、練炭、首吊り、どれも実現しない。中途半端に助けられて死にかかったゾンビみたいに生き延びるのがオチだから。胃洗浄とかされたくないし。

グレーのシャツを着ていた。胸もとには昨日食べたカレーうどんのシミがべとり。三日風呂に入っておらず髪の毛にはフケがついて油でべとり。二週間履き続けたスボンは何か嫌な臭いがする。歯磨きしていない口は歯石がべとり。こんな不潔なのになぜかオシャレ心が芽生えて髪を金髪に染めていた。金は日本人の私の顔には似合わなくてやたら目立つ。身体はブヨブヨに太り体重は80キロ。毎日食って寝るだけだから24時間がとても長い。死にたい。生きている意味ない。消えたいと思った。でもなんとかスーツ買って履歴書書いて面接行ってやっと仕事を見つけたの。

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