フウ軍団 カーチ

セシルがリーチェと話をしたいた時・・・勇者もまた、ある人物と対峙していた・・・


見た目は、フウが大人に成長したような容姿・・・勇者カールにとって、今までフウの様々な、超人的な力を見せられてきた彼は・・・


フウがこの短期間で、成長したのでは、という推測を一瞬考えた・・・


だが・・・その推測を一瞬で勇者は払いのけた・・・


「君は誰だ・・・?」


俺、勇者カールは剣の柄に手を掛けながらそう聞いた・・・


目の前には、大人になったフウの様な容姿を持った人物が居る・・・


だが、勇者としての勘、いや・・・今まで、散々彼女との関係を持った俺は、目の前の人物がフウでは無い事を直感で感じ取っていた・・・


第一に、ムウが居ない・・・彼女にとって、彼以外の事はどうでも良いと考える彼女が一人で目的も無く、俺に会いに来るとは思えない・・・


もう一つが、彼女の目だ、フウはムウだけを見ている・・・それこそ、他の人達何て目にとめる必要が無いと考える程・・・


はっきり言って、彼女は、俺すらも、一人の人間としてみていない・・・下手をすれば、その辺のゴミとして見られている可能性すら見られているかも知れない・・・


それ程、彼女の目には興味がないという感じがありありと感じていた・・・


だが、目の前の人物は、少なくとも、俺を勇者・・・いや・・・人間として見ている目をしていた・・・


まあ、相変わらず、自分達より下に見られているみたいだけれども・・・まあ、それは今更の事か・・・


・・・それに万が一彼女がフウだとしたら、理由さえあれば、この世界を滅ぼしても可笑しく無いしな・・・


それこそ、ムウが世界を壊せと言ったら、一瞬で壊してしまえるんじゃないかと思う位・・・彼女はムウ以外の事はどうでも良いと思っている・・・


そう考えると・・・目の前の人物はフウで無い方が俺としては良いのだが・・・


「これは、失礼・・・私、カーチと申します。」


その言葉に勇者は少し安堵した・・・彼自身・・・今までフウに色々やられてきた為、フウに対し、若干トラウマ気味になっていた。


「それで、勇者様はこちらに何をしに来られたのですか・・・?」


そう問われ、俺は少し考える・・・


フウでは無かったが・・・容姿が似ているという事は、フウとは無関係では無いだろう・・・


下手をすれば、自分の分身を作り出したと言っても俺は驚きはしない・・・それ程、彼女・・フウの力は凄まじかった・・・


ディエティドラゴンを倒した今でさえ、フウに勝てるビジョンが見えない・・・それ程、彼女は強かった・・・


セシルの奴・・・それでも、フウに勝とうとしているんだよな・・・よくやるよ・・・


いかん!いかん!!思考がずれてしまった・・・


とにかく、目の前のカーチという人物は、俺の質問に受け答えをしてくれた。ということは、一応、話は通じる様だ・・・


以前のフウの暴走事件みたいに、一方的に話を通される訳でもない・・・


これなら、平穏に何とか、話だけで終らせられるか?


俺は、ここに来た理由を喋ろうと口を開いた。


「ああ、すまない、俺は、神ラーフから神託を受け、ここに不当に奴隷にされた人達が居ると聞いてやって来たんだ・・・だから・・・」


「お引き取りを・・・」


俺が、理由を説明しようとしていると・・・カーチが不意にそんな事を言い出した。


「へっ?」


「奴隷達は私達・・が解放いたします。勇者様は何もする事が無いのでこのままお帰り下さい。」


いきなりそんな事を言われて俺は唖然とした。確かに、俺の代わりに奴隷になってくれる人達を救ってくれるのならそれ程ありがたいことはない・・・だが・・・


「どうやってやるつもりだ・・・?勇者の権限を持った俺だって、裏情報を集めたり、根回しするのに苦労するんだ!それなのにどうやって!」


そう、奴隷達を解放する為の根回し・・・これをしておかなければ、下手をすれば、自身がお尋ね者になってしまう可能性がある・・・


それに仮に上手くいっても、奴隷達を養ってくれる場所を確保しなければ、その解放したはずの奴隷達が路頭に迷ってしまう・・・


勇者の権限を使い、それらを確保する様に国や教会に求めるつもりだったのだが・・・こいつは・・・その所をどうするつもりなんだ?!


「・・・?正面から、突っ込んで、そのまま奴隷達を解放するつもりでしたが・・・?」


「いや・・・えぇ・・・」


そんな事を心配しながら言った俺の言葉に帰って来た返事は予想もしない言葉だった・・・


やはり、容姿だけでは無く、行動もフウの様にぶっ飛んでいる様だ・・・


「奴隷達が居る場所は・・・?」


「もう把握しています」


「解放した後は・・・?」


「私達が住んで居る場所の近くで住まわせる予定です」


「強引に奴隷達を解放したら、裏社会の人達に目を付けられるぞ・・・」


「関係ありません。今日中に殆どの裏社会の人達が消えますから・・・私達・・の手によって」


そこまで聞いた時に俺は、一瞬頭が停止した・・・ちょっと待て・・・殆どの裏社会の人達が今日中に消える・・・?私達・・の手によって?


「どういう意味だ・・・」


「簡単な事ですよ、裏社会の団体は今日ほとんどが消え去ります。」


「・・・殺すのか・・・?」


「・・・そう言ったら・・・?」


「絶対止める!!」


そう言って、俺は剣を抜いた。

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