セシルとフウ?の再会

フウが魔王を倒した。勇者からそんな事を言われた・・・勇者の力を持たない者が魔王を倒す・・・そんな偉業をあの子供は成し遂げたのだ


もはや、俺がフウと闘い、勝つ事など不可能かもしれない・・・そんな事すら考えてしまう・・・


だが、俺はそれでも魔の森に行く事に決めた・・・強くなる為に!!


最早追いつけないかもしれない・・・いくら努力しても、強くなっても影すら踏めないかもしれない・・・


だとしても、歩みを止める訳にはいかない・・・ギルドで負けた時に決めたのだ!!あの子供より強くなると!!絶対に!!


その為に、俺は魔の森で再び修行する事に決めた・・・


だが、魔の森に行く前に、確認しておきたい事があった。我が親友であった、マイルの生死だ。


今まで俺には、友という存在が居なかった・・・共に競い合うライバル、武術の技術や力の使い方を教えてもらう師・・・そういった者は居たが、友と言える存在は、マイルただ一人だった。


ライバルの様に、英雄クラス同士、実力を競い合った間柄でもあったが、それだけでもなく、他愛もない話で笑い合ったり、何でもない話で張り合ったり・・・


本当に、友という存在は彼だけであった。


魔法使いと剣士・・・全く闘う分野がすら違う彼、だがそれでも俺達は馬が合った。


スキル無しでありながらも、魔法だけで、英雄クラスまで上り詰めた彼を俺は、尊敬しながらも、嫉妬の感情をもったりした。


だが、それでも憎めなかったのは、彼の人柄ゆえだったのだろう・・・


だからこそ、俺は、マイルを見つける為に一度魔の森に行く前に、王都バイドリウムに寄った。


だが、結局、マイルの生死については解らなかった・・・


その代わり、元影のリーダーであった人物と接触した・・・その人物は、マイルを死の一歩前まで追い詰めたようだが、転移魔法で逃げられ、今はどこに居るか解らないと言った・・・


『嘘を言っているんじゃないだろうな?!』


『・・・今更嘘を言ってもしょうがないだろう?もはや、王都は機能していないのだ・・・義理を果たすはずの王も最早いないのだからな・・・』


・・・結局、俺はそれ以上の事は何も解らなかった・・・


それから、1年以上の月日が流れた・・・・


「見事だ・・・」


俺は、全力のディエティドラゴンから一本を取った・・・たった一人で・・・


これは、前人未踏の快挙だ・・・だが、俺にとっては、スタート地点にすぎない。


「一年もの間付き合って頂き、ありがとうございます」


「・・・よく言う、結局、今回の闘いでスキルを使わず勝ちおってからに・・・」


そう、俺は、ディエティドラゴンとの模擬戦で、一度もスキルを使わなかったのだ・・・それも、これも強くなる為・・・


「・・・本当に、あの子供に戦いを挑みに行くのだな・・・」


「ええ・・・」


「我の本気ですら、あの子供に手も足も出なかったと言ってもか・・・」


そう、強くなる為にディエティドラゴンと本気で闘う事になった時・・・彼はこう言って来たのだ・・・


『我の本気ですら、あの子供にとっては、遊戯に等しかった・・・』


何でも、ディエティドラゴンはあの子供と本気で闘った事があるらしく・・・結果、負けてしまったと言ったのだ・・・


ドラゴンの頂点ともいえるディエティドラゴン・・・その力をもってさえも、勝てない存在・・・でも・・・


「それでも・・・」


俺には闘わないという選択肢はない・・・その為に俺は、この2年半鍛え続けたのだから・・・


「・・・分かった・・・最早何も言うまい、我は負けたのだからな・・・」


そう言うと、ディエティドラゴンは、長い首を伸ばし、天を仰いだ。


その姿を見て、俺は頭を下げ、神の精霊に一言お世話になった礼を言い、魔の森を後にした・・・


―――――――――――――――――――――――――


それから俺は、王都バイドリウムの周辺の街で住んでいた・・・


何故この辺りに住んで居たかと言うと、マイルの失踪について、せめて生死だけでも知っておきたいと考え、最後に失踪した王都周辺で情報を求めようとした為だった・・・


だが、結局依然として、マイルの情報は手に入らなかった・・・


もう一つ、フウと言った子供が、王都バイドリウムの近くにあった、街フォーカにて、屋敷ごと居なくなったという情報を一年前に手に入れた為でもあった。


何でも、あの子供は、俺が出会った、フォーカの街で、家を買ったらしいのだが、その後、居なくなったという話だ・・・


しかも、屋敷ごと・・・


普通ならあり得ないと言われる出来事、家なんて大きなものを持って居なくなるなんて普通ならあり得ない・・・と言うより、持っていけないと言うのが普通の常識だ。


・・・しかも、その家は、貴族が持っていた屋敷で普通の大きさの家と比較してもとんでもなく大きかったらしい・・・


普通なら、あり得ないと一笑に付す話だ・・・


だが、相手は常識の範囲外の力を持つ子供・・・それをやってのけてもあり得なくはない・・・


その為、俺は子供が最後に目撃された街周辺でフウの情報を集めている。


だが、結局、そのフウと言った子供もマイルについても何もそれ以上何も情報を手に入れることが出来なかった・・・


今、この王都と王都周辺の街は、貴族や王族の血筋の人達と争いをしている・・・俺自身も戦争に出て武勲を上げないか?という打診を何度も受けた・・・


とは言え、今の俺にはあの子供を倒すという以外、武勲も含めも目に入らない為、全てを断った・・・


だが、結局、その子供さえも、全然見つからない・・・こんな事なら、勇者から大体の位置でいいから子供の住んで居る場所を聞いておけばよかった・・・


そんな事を考えながら、溜息をついた・・・


彼女を探し始めて、3ヵ月の月日が経とうとしていた・・・


その時、ふと、気配を感じた・・・とんでもなく薄く、ふとすれば、英雄クラスと言われていた俺ですら気付かない微弱な気配・・・


「誰だ!!」


俺がそう言うと・・・


「・・・この世界の人間に勘づかれる何て予想外なの・・・」


そんな言葉が気配を感じた方向から聞こえた・・・どこか聞き覚えのある声・・・この声・・・!まさか・・・!!


何も無かったはずの場所から、小さな子供がいきなり現れた。


「フウ・・・」


目の前に探し求めていた子供が居た。

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